舞台「弱虫ペダル」SPARE BIKE篇〜Heroes!! を観てきた

かなり厳しい話をするが、ペダステを信じて聞いて欲しい…

私はこの2.5次元作品が犇めき合う中で、ペダステという作品を一番愛しています。
その気持ちを以ってしても、今公演の大阪初日は「つまらないままペダステが終わった」「今までと同じペダステは観られない」と思いました。
観終わって悲しい気持ちになったペダステは初めてでした。

大阪初日の率直な感想は

・前髪邪魔とカチューシャの仕込みがあるのに東堂くんがカチューシャ着けるところが無いのってどういうことか
・客席が温まりきっていないタイミングでの修作の熱意がアンバランス
2.5次元作品における最近の東堂尽八には「柿原徹也氏の東堂尽八」を感じる機会が多い。これは秋葉友佑氏の東堂尽八にも感じたので2.5次元作品では「型」のようなものが定まりつつあるキャラクターなんだろうか
・君一年生?緊張してんの?緊張してるのは君だよ!
・ミスをした時に、ミスへの不安が伝わってくる
・ラスクラが始まって気絶するかと思った
・トラック漫談!伸び代しかない!
・なにが身体仕上がってるだ小関さんはシュッと細いわ! 
・呉南のエピソードだけめっちゃおもしろい
・前田プロフェッショナル
・世界で一番イケメンの街宮がここに居る
・番場!最高!2.5だ!
・演者のスキルに依ってエピソードの解像度が変わり過ぎる
・安先輩カッコイイ
・歌がダサい!2曲ともダサい
・ウィーウィルロックユー…
ポンキッキーズ
・巻島裕介の文字は「右下がり」なのに何でそれを表現しない?でもこの感覚は鯨ちゃん達「新生の人たち」が築き上げたペダステなのかもしれない。ここではそういうのを求めること自体が通用しないのかも…
・寒咲さんカッコイイ
・伊藤さんと村上くんが続投してくれて本当に良かった

等々…
全体的に永遠に盛り上がりきらないお話が続き、5時間くらいあるかと思いました。
初日から仕上がっていたのは呉南のエピソードだけだと思います。しかしながらそれも完成度が高過ぎることで他のエピソードとのアンバランスさが強く伝わりました。

初日だったし、舞台上も客席もお互いに探り探りの状態だと言えばそうでしょう。お互いに緊張していたというかフワフワした気持ちだったのかもしれません。

しかし、
「面白かったらチケットを買い足そう」と思っていた私の大阪公演はこの初日が千秋楽になりました。

この作品に12,000円という大金を払っても後悔しないかということに自信が持てませんでした。

今回の公演のチケット価格は過去最高です。
プレミアム席の範囲の広さは過去公演と同じくらいでしょうか、大海原のように広い。
ペダステのプレミアム席にはこれまでパンフレットが付いてきました。今回からはそれもありません。
チケット代が純粋に高い。
コロナ禍で演劇業界は打撃を受けているでしょう。
でもコロナ禍にあるのは世界中誰しも同じです。
値段に見合わない作品は選ばれなくなり淘汰されていくのではないでしょうか。

私はペダステを愛しているのでペダステがいつも「選ばれる作品」であって欲しいと思います。
「ペダステは楽しいよ!ちょっとお値段は高いけどそれに見合う作品だよ!」と言って回りたいのです。
ですが今作の初日に思ったのは「この値段でこのクォリティではチケット代が高すぎる」
大阪初日の夜は泣きながらレモンサワーを煽りました。


東京初日までの一週間、私は過去のペダステを改めて見ました。
ペダステを愛していると言いながら、イメージを歪ませてしまっているのではないか、私のペダステへ臨む気持ちの方に間違いがあったんじゃないか、と。
インターハイ編三部作に野獣覚醒、IRREGULARの円盤を久しぶりに見た感想は「おもしろ〜い!」でした。これが見たかったんだけどなぁ、と改めて思って梅酒を炭酸で割って飲みました。

ところでそろそろIRREGULAR以前の作品もBlu-rayで出して欲しいですね。

  • - - -

東京公演の初日、いつも通りのペダステが観られました。
今作のシナリオ上のレースは過去の闘いしかないとか、呉南のエピソードまで体感3時間くらいかかるとか小関さんが太いとかボックスステップがダサいとかそういうのは変わらないのですが、今思えば全体のテンポがかなり良くなっていた気がします。格段に観やすかった。

楽しく観て ♪青空のスポットライト〜聴いて ヒメヒメ踊って帰宅!ペダステ楽しい!


大阪初日とはなんだったのか


楽しくて面白くて明日もペダステ観られる!イェーイ!みたいな気持ちが湧いてくる、私の大好きなペダステを観ることが出来ました。ホッとした。
厳しい話は終わりだ!楽しかった話しようぜ!

・東堂
このエピソードが最初にくるのは本当に意外でした、だって「IRREGULARで既にやってるじゃん」

「修作が如何に東堂くんに対して『一緒にやろう』という熱意を持っているか」が大切だと思うんですが、その温めが足りない気がしました。
悪くいうと「修作が一人でやたら頑張って突然足をつる」くらい導入が不足していた気がします。
IRREGULARとは掛けられる時間が違うし語っているのは新開さんだとしても、修作の熱意の部分が説明不足だったように感じたのは少し残念でした。

見栄えに拘る東堂くんが自転車と出会い、セットした前髪やオシャレ着がボロボロになっても自転車に夢中になる、でも東堂くんは自分のカッコイイ姿を諦めない男。オシャレも全力の汗だくも共存させて自転車に乗る、勝つ!それが東堂くんのスペアバイクだと思っていたんですが…。
東堂くんが見栄えのためにカチューシャを着けるに至るエピソードは辛うじてカチューシャという単語が出てくる程度。
ここはIRREGULARの方が圧倒的に好きでした。
見栄えに拘る東堂くんのエピソードは見栄えにもっと拘って終わって欲しかった。

・福富&新開
新開さんと福ちゃんのスペアバイクは原作的にはかなり古いエピソードなので「ついに観られるんだ!」という気持ちでした。
今井くんは誰が演るのかな、パズルの人かな?とかワクワクしたのも忘れられません。田内氏でビックリしました。全然似てない!

新開さんがニセ福富に対して「フクトミくーん」と声を掛けるのは、偽物だとわかってて声掛けているので純粋に意地悪なんですがウェットに嫌味ったらしく感じさせないところが実に「新開さん」っぽくて2.5次元でした。

時人氏の秦野第一の先生が表情は見えないのに強い威圧感があって画面が引き締まる印象があって毎回楽しみにしていました。

・トラック野郎のトラック漫談
トラック漫談は伸び代しか無いと感じた通り、これぞペダステ!という感じで毎公演楽しかったです。
中でも「最終章をお見逃しなくショ〜」と捌けていった28日昼公演が好きです。
「あんまり面白くねぇから期待するな」と言われると「ドッカンドッカン言わせてやるぜ!という気持ちで挑め」とつい思ってしまうのですが「期待して待ってろ」と言われると「その心意気や良し!」と気持ちがブチ上がりました。
千秋楽での鋼のメンタル自己申告も頼もしくて、本当に素晴らしいものを見ました。トラックラップも楽しかったですね、全部楽しかったです。
トラック野郎のラスト、「トラックを失ったら俺はただの野郎ショ〜」もシンプルに面白くて好きです。
円盤に全公演分収録して欲しいな。

・信号機
信号機トリオがまた板の上に揃う事が有れば、この演出はまた見たいです。ペダステっぽい。


・荒北
このエピソードも既に野獣覚醒でやっていたので懐かしい気持ちになりました。時人さんの荒北さんで真鶴のレースの方も見たかった。

荒北さんのエピソードに入る時の福ちゃんの「導入は俺に任せろ!」は、メタな視点の面白さに加えて袖に走ってく荒北さんに「素直さ」を垣間見ることが出来て好きでした。

♪そのハンドルを握れ
ウィーウィルウィーウィルロックユーって感じ。
ペダステの劇中歌ってレース中の心情を歌っている曲が多いと思うんですが、この曲はそういう雰囲気ではなく割と唐突に歌い出す曲でした。
大阪の初日時点で「ペダステはこれからはこういう感じになるんだ」と強く印象付けた曲でした。
ライブじゃないからね〜の時代の終焉なんだ、と。
東京公演の時は耐性があったというか、来ると思って迎えればショックも随分緩和したので、今後のペダステを表す曲から荒北さん個人の歌だと気持ちが変わりました。

・金城
林田氏が現在の金城さんと打って変わってちゃんと幼く見えることが凄い。
諦めたり投げ出したりすると結果にならないと挑む金城少年の姿、身につまされる思いでした。…明日から仕事頑張ろ。

ただ、…小関さんはねぇ!細いんですよ!!


・巻島
IRREGULARで見てるので「懐かしい」
正直、GIOSからTIMEに乗り換える方のエピソードをやると思っていたのでビックリしました。
田淵氏演じる1年生の頃の巻ちゃんの姿は本当にふにゃふにゃで頼りなくて可愛くて、寒咲さんの格好良さが際立つことでかっこいい寒咲キャプテンの体感が凄くて…!
ゴールの瞬間の腕の角度がいつも完璧でした。2.5次元作品としては今回一番再現度が高かったと思います。
乗り換えのエピソードもいつかペダステで見たいな!

巻島のダンシング矯正先輩の一人、時人氏から滲み出る「イイヒト感」というか、「この先輩はあくまで善意で巻島にアドバイスをしている」というのが伝わってきて、ペダステはモブが本当にいい仕事をする。

・ラスクラ
正直初日はラスクラをやっている事に「嘘でしょ?!」と思いました。
弱虫ペダルのレースで屈指の人気を誇るこの競り合いを部分的に切り取って演るとかどういうおつもり?!と。
古参の厄介丸出しな気持ちになったのを覚えています。

東京公演5回観たら流石に見慣れて「でもこれペダステでやったのもう7年くらい前だしな…」という気持ちに軟化しました。
まぁでもやっぱりラスクラは無くても良かったとは思うけど。なんで???て気持ちがいまだに有る。


喫茶お茶カフェ入店から呉南の過去のエピソードを開始する前の前田氏による一連の長台詞、芸術でした。
一瞬も油断させないというか釘付けにするパワーがあって、勿論面白くて楽しい。

・呉南
クローズゼロが始まるので本当にビックリするんですよね…ペダステで「殺陣」という言葉を使う日がくるとは思っていませんでした。
待宮役の前田氏も井尾谷役の田内氏も本当にお上手で、出会い頭にゼロ秒で殴り合いが始まる呉南工業高校、怖過ぎて…ギプスのついた足や松葉杖で殴ってくる描写原作に無いんですが?!待宮くんがいかにヤベー奴かということが120%体感出来て最高でした。
原作読んでた時は「4階から突き落としてやる」のイビーに「ヤベェ奴だな」て思ったんですが、呉の闘犬マジおっかねぇ。
そりゃこんな治安悪い学校に通いますってなったら「終わった」という気持ちになるのも止むなし、という説得力たるや。

待宮くんが命綱になるまでの流れというか、井尾谷が掴まるポイントを用意する流れるような前田氏の動きが美して大好きで毎回目で追ってました。
パズルライダーの皆さんが襟首あたりを掴んでいるモーションが命綱街宮を強調していて、こういう時にパズルライダーという存在の効果に改めて驚きます。自然に馴染み溶け込みシーンに強いインパクトを与える。

・志木くん
ストーリーに「(井尾谷は)何かで日本一になりたい」と思っていたことを上げてくれる志木くんがちゃんと登場してくれて嬉しかったです。中寺先輩は出てこないけど志木くんはちゃんとキャスティングされる、この取捨選択にもペダステらしさを感じました。

・番場くん
番場くんは至高の2.5次元でした。
頬を摩る所作とか本当に漫画から飛び出してきたようでした。
小物感も番場パンチのへなちょこ感も「こんな奴に待宮も井尾谷も絶対に負けない・屈しない」という説得力がありました。

待宮と井尾谷のラストの小競り合いから殴り合い始める直前の鞄の放り出し方が良くて「何も考えず自然体で放り出している」という感じがして毎回楽しみに待っていました。
呉南のエピソード、かなちゃんさんの件と20メートル引き離しバトルと浦久保くんとの衝突も絡めて2.5時間かけて改めて演ってほしい。観たい。

待宮くんのエピソードが終わったら上がれ新開オーケー寿一!で光の速さで京伏のエピソードに移行するんですが、このたった一瞬の為であっても「喫茶お茶カフェ」をちゃんと舞台上に復元するの本当に凄い。秒。

・京伏
伊藤氏も村上氏も全然雰囲気が違ってビックリしました。
安先輩がとにかくカッコイイ。
田淵氏は1年生の時の巻ちゃんと全然雰囲気が違っていて「関西では負けなしの選手」の貫禄が凄くて…カッコイイ先輩でした。
安先輩はこういう顔をしていたんだなぁ、とも。まつ毛が長くてラクダみたいな顔だなぁって原作では思っていましたがイケメンだった。
後輩が「せんぱいへ♡」てお手紙書いちゃうのも頷ける。

石垣くんは坂道くんに「ふわふわした気持ちで走っとたわ」なんて言っていましたが石垣くんの1年生の時のインターハイ、ズッシリと重く…インターハイ頑張って欲しいんですが彼らがどうなるか、既に知ってるのであーもうっ!あ〜〜もうっ!!と語彙を失うばかりです。


♪集まろうぜ
ウィーウィルロッキューは「来る!」と思ってると耐性がつくというか、まぁ慣れたんですがこの曲はどうしてもなんか照れちゃって、恥ずかしくなっちゃう曲でした。耳に残る・思わず口ずさむような歌という意味では正解なんですが、なんていうか…ダサいし…。
私は♪勝つために今必要なのは〜 とか ♪勝ちたいどうしても勝ちたいんだ〜 みたいなレース中の心情を歌うペダステ曲が好きなので「走っていない時の彼ら」の歌は照れてしまのかもしれないです。くすぐったくて慣れない、スクールミュージカル弱虫ペダル


・エピローグ
待宮くんと荒北さんが洋南大学で邂逅するシーンは本当にサラリとやっていました。待宮くんが洋南の自転車部に入るまでのエピソード、2.5時間くらいかけてたっぷりと是非観たいんです、やってくれ。荒北さんをまくためにまきびしを撒く回が好きでした。満員電車の回も意味わかんなくて最高。

石垣くんの上京エピソードとしては「東京に馴染むんや!」に対する濃い醤油味のうどんの方が嫌味が効いていて好きなんですが、ペダステでは馴染めないと悩む姿よりも孤独が優先されたようです。
りんご握りしめて「リンゴにさえも仲間がいる」はホームシックが限界頂点って感じで大好きです。

アパート前の母娘の前田隆太朗氏、セーラー服を着ている以外の見た目は街宮くんなのに可愛い女子中学生にしか見えませんでした。
「ちょ〜〜カッコイイんですけどーー」の言い方が可愛い過ぎて毎回新鮮に「可愛い」と思いました。
流石前田プロフェッショナル!
「私が新しいパパ見つけてあげる」\\ジャキンッ//が原作には1mmもないシーンなのに何故かすんなりと受け入れさせてしまう、そんなペダステの力を感じるシーンでもありました。

♪over
♪恋のヒメヒメぺったんこ
楽しい!

  • - - -


あー楽しかった!
チケ取りの過酷さも困難も失敗もペダステは全部楽しさに変えてくれるし、まだ観た事のない公演を初日を千秋楽を劇場へ向かうという素晴らしさを私に齎してくれます。
今日もペダステを愛しています。
なので前回購入者先行は篩い落とさないで欲しい。

28日昼公演のチケットを持っていなかったのですが「今から1つも見逃したくない」と思いLoppiに猛ダッシュしました。
当日引き換え券の購入はwebでは前日22:00までだけどLoppiからの直接購入なら23:59まで購入可能!ちぃおぼ!