刀ステ維伝を観てきた
チケット取れなかったら4万までは出す覚悟してたんですが、定価の範囲で観てきました。
つまらないことを先に言ってしまうのですが、普通に「いつも通り」の刀ステでした。
今回の刀ステはゲラゲラ笑えるから楽しいとか、高尚が鼻について不快だとか、匂わせが寒過ぎるとかは無く…匂わせは多少有ったかな。それもいつも通りって感じです。平年並み。
今回のアニメのOPみたいなアガるOP曲、アニメのEDみたいな仄暗いED曲、南海太郎朝尊の罠シーンの音楽、と音楽が本当に好きでした。サントラ出ると良いな。
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前回の慈伝で突然のバク宙が冷や水だったので、今回はそういう「蒼木陣氏」としてのアクロバットではなく「アクロバティックな陸奥守吉行」が観られました。最高。
殺陣のシーンはアクロバティックでダイナミックで見応えする所が多々あって、慈伝で垣間見て期待をした「蒼木氏だから出来る身体能力バリ高の陸奥守吉行」を観ることが出来ました。とても嬉しかったです。豊かなことです。
筋肉がバキバキで「絵みたい」な胸筋、腹筋、上腕二頭筋には「立ち絵のむっちゃんみたーい」とIQの低い感想を抱きました。絵みたーい。
期待していたものが観れたことは本当に豊かで嬉しい事だと思います。蒼木氏のむっちゃんは本当にボディが絵の、キャラクターデザイン儘の陸奥守みたいでした。
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ストーリーの感想ですが、先にも書いた通り「いつも通りの刀ステ」でした。
・「せっかくこがなところに来たき、世界を掴むぜよ」
冒頭に顕現台詞キラーショットが復活して嬉しかったです。
2.5次元舞台を観に来ているので、再現性の高いシーンはやはり気持ちがアガりました。
南海太郎朝尊の綺麗な声が目立って良かったです。
ついでに再現性のところで好きだったところを挙げると、
「会心の一撃」を男士が撃つ時の緑の閃光が好きでした。特に南海太郎朝尊は格好良かったです。
…南海太郎朝尊がとても良かったですね。前よりずっと好きになりました。
顕現台詞や会心の一撃、ゲームで見ていたものに生身の体感をもって再び出会うことができること、2.5次元舞台作品はこの「体感を得る瞬間」が本当に快感です。
慈伝の時に寒くて風邪を引きそうだった「ゲーム内台詞」のテキスト儘乱用は男士の人数が少ないので慈伝よりはずっと気にならなかったです、偶に不自然もあったかな?くらいです。
・「特命調査 文久土佐」
「入電」から始まるゲームの「特命調査文久土佐」儘の肥前忠広のVTRには「これは特報で見た」とだけ思いました。
文久土佐のイベント自体が結構前なので懐かしさがあってVTR久し振りに見れたことは良かったです。
・「この街…気持ち悪い」
「生きている」と表現された文久土佐町は非常に思わせぶりで禍々しくて、これがナニモノなのか先の展開をワクワクしながらストーリーを追っていたのですが結局なにも明かされない儘でした。
「生きている」と表現するからには「街が思考して邪魔をしている」のかと思ったんですが、そんな事なかった、期待し過ぎた。
途中から「勝手に動いてる」程度になってしまいました。ええ…。
刀ステにはいつも思うのですが、広げた風呂敷はキチンと畳んでから幕を下ろすべきだと思います。
「ものがたりをおくれ…」とか言い出す目玉達、禍々しくて面白そうだったのに何もありませんでしたね。
結局アレはなんだったのか。どういうことなのか。
これからのシリーズで語られるのか…
今語れよ!客が観ているのは「今」なんだよ!と思います。次回観れる保証なんて何もないのだから。しかしながらこのシナリオのガッカリ残念さも「いつもの刀ステ」です。
本当に毎回毎回「それっぽいカッコイイ事」だけを詰め込んで畳まない姿勢、ダサいシナリオ振り切りが潔くて清々しいです。
・「派手じゃのう、どこで誂えたんじゃ」
龍馬から男士の扮装を指して「変わった服装」みたいに明言したのは驚きました。コレは非常に面白かったです。
男士たちのあの扮装ってその時代時代に合わせて光学迷彩よろしく、時代の人達には時代に溶け込む服装に見えているとかそういうご都合主義なものでは無いのですね、漫画の読み過ぎかしら。
いつも私達が見てる通りの格好で各時代に出陣してます、というのが明かされるのは面白かったです。
怪しいのでしょっ引かれる理由は十分でしたね。
・「誰だ 罠を仕掛けようなんて言ったのは」
南海太郎朝尊の罠を仕掛ける時のシーンがとても凄くめっちゃウルトラスーパー超好きでした。dance to the music!て感じ。
ずっとこのシーンを繰り返し観ていたいくらいです。維伝はこの罠シーンをずっと推して行きたいと思います。罠to the musicと名付けます。
音楽がディスコティックで可愛いし、ダンス(?)がダサ可愛くて好みにガツンと響きました。
このシーンを好きな理由はもう一つ、
この「罠を仕掛ける」は文久土佐のプレイ時の再現としてとても上手だと思いました。
実際のゲームだとコマ進めて戦って、勝って、朝尊の台詞!コマ進めて戦って、勝って、朝尊の台詞!の繰り返しでテンポとか感じたことは無かったです。
舞台では音楽と合わせることで軽妙でサクサクとテンポよく進んだのは感動しました。
ゲームの展開を100%のオリジナリティを持って100%表現していて、200%の魅力を感じました。
楽しくて堪りませんでした。
・「とぅーーーけんだんしぃーーー」
完全に個人的な好みですが
史実上の人物達に刀剣男士が「刀」とバレている・受け入れられているというのは苦手なシナリオです。ダサくない?
坂本龍馬にはバレていない、バレていないというか男士サイドが肯定はしていない、バレを受け入れて名乗ったりはしていない。この辺が心の拠り所でした。
ところで龍馬は自分が「ヒトではない」自覚があったのでしょうか…個人的には無自覚だったと思うんですけどね。
それにしてもあの龍馬ってどこから現れたナニモノなんでしょうかね。放棄された世界、分岐後の龍馬ってことで合ってますかね。イマジナリー龍馬?
正体は明かされないままニセモノの龍馬は破壊されてしまったのが残念でした。
本当にあの龍馬は「倒されるだけ」で良かったのでしょうか。
・「ちょっとちょっと刀剣男士〜喧嘩してないで歴史守ろっ」
コメディリリーフを担う鶴丸国永、といいましょうか、狡い存在でした。ずっと面白いんですもの。
芝居のテクニックも存在感もある。
「久しぶりの出陣」はメタなダブルミーニングを多分に含んだ台詞で実にズルイですね〜〜!
染谷氏自身の初演ぶりのキャスティング、健人氏がずっと出演していたことを踏まえて本当に狡い台詞です。考察厨なる浅い深読み大好きヲタクたちの筆を走らせてしまうことでしょう。
染丸国永については、久し振りに見ることが出来て嬉しかった事と、小烏丸の玉城氏と並んで含ませ台詞を話す時に二振りは老獪で且つ「対等である」ことを並ぶだけで示していました。ずる〜い存在だ、染丸国永。
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維伝は一幕の幕引きっぷりを金髪の時間遡行軍が盛り上げてくれてました。二幕が楽しみな幕引きはやっぱり観劇してて良いですね。
二幕は殺陣が長いなぁ、とは思ったんですが刀ステ名物「冗長な殺陣シーン」と思えば…この辺もいつも通りでした。長い。
ストーリー全編は刀ステ名物の広げっぱなし、思わせぶり放置でいつも通り。
歴史上人物への特に真新しいアプローチはなく、よく描かれてきた坂本龍馬、岡田以蔵、武市半平太でした。坂本龍馬という人物に対して理想が高過ぎる気もしましたが。
結局あの龍馬の正体は明かされないまま終わりましたね。
なーーにんも明かされない。
刀ステはいつも基本的にオチが無いので…ヤマはある、意味は…見出したい。いつも通り。
私は陸奥守吉行依怙贔屓本丸の審神者なるものをやっているので、今まで山姥切や三日月が担ってきた所謂「主役」ポジションに陸奥守吉行がいることが単純に嬉しかったです。
ラストで陸奥守が「歴史を守るのが刀の本能、であれば自分は『刀だ』」と自分の在り様を明言していました。モノとして自覚的である、ということの表明でしょうか。それとも言い聞かせているのでしょうか。なんとでも受け取ることが出来る!そういう思わせぶりなのはいいからガツンと熱いメッセージくれよう!
面白かったか、と聞かれたら「悲伝よりずっと面白い」と逃げ口上を述べます。
ここから先は読まなくて良いんですが自分の気持ちの備忘を書き殴ってます。
私は陸奥守吉行が好きなので、今回とても期待と不安を抱いて観劇に臨みました。
好きなキャラクターを苦手な脚本・演出家が描いているっていう負け戦スタートだったんです。
陸奥守吉行を嫌いになりたくないから、なるべく「刀ステの陸奥守は末満の陸奥守」と最初からかなり距離をとって観劇していました。
ただ、これが最初に見た2.5次元の陸奥守だとしたら、これが正解と思っていたかもしれません。
弊本丸の陸奥守吉行と最も解釈が合致したのがアニメの活撃刀剣乱舞 第9話の陸奥守吉行です。
存外、湿っぽく感傷的で謀反の気配を漂わせてて、でも自分の気持ちに折り合いつけて大人ぶって賑やかしい役割を担っている、こなしていると思ってます。
そういうイメージを抱いているので…こう、蒼木陣氏はどうかなー、どう思って、どう考えて…むっちゃんに何を感じて演じてくれるのかな、私と完全一致はコッチが厄介過ぎて無理だろうという気持ちというか、あまりこちらのイメージを押し付けずに観たいとかそんなことを考えてました。
どうだったかというと、観劇中何度も「この陸奥守吉行が理想と一致する人はたくさんいるだろう」と思いました。
それだけ蒼木氏のパワフルで豪快な中にあどけなさを感じさせる雰囲気は陸奥守吉行のパブリックイメージと合致していたと思います。
しかしながら私個人が抱く「キャラクター解釈」と一致していたかというと…無抵抗の龍馬に「戦ってくれ」と頭を下げる陸奥守吉行には「解釈違い!解釈違い!」と鳴き声を上げそうでした。
解釈違い〜〜〜〜〜〜!なんてエゴの塊な言葉を使いたくないのですが、シナリオと血と骨と肉を以て表現された刀ステの陸奥守は、やはり私とは「同じキャラクターに対する分解、再構築」が異なりました。
違うだけです。否定はしませんし、それぞれの本丸、というヤツです。
末満氏とは解釈が違った。知ってた。今更だった。
刀ステのあの陸奥守吉行はあの文久土佐の世界の龍馬に本物の「坂本龍馬」を重ねたのでしょうか。
本物ではないということが判明して尚、「龍馬にはこう在ってほしい」を重ねて願うのか刀ステの陸奥守吉行よ…。
「坂本龍馬の事を大切に思っている」というのはむっちゃんのキャラクター性というか男士としての構成要素です。元の持ち主のイメージに由来するタイプの刀剣男士です。
陸奥守の在り様は坂本龍馬で、その坂本龍馬にどういう姿であって欲しいかを願う姿は…卵が先なのか鶏が先なのかと思いました。
加えて私自身の問題というか、「そんなに前の主人の事が大事なの?!イマノアルジはムカシのオトコのハナシ、ダイキライ!」という嫉妬心があります。嫉妬はいつも醜い!
私は「むっちゃんは「龍馬が大切である事有りき」な存在であることはわかっている…。私より龍馬の事が好きなんでしょ?!やだ!」というド嫉妬審神者をやっております。厄介なことに自覚的である。
しかしながら、このド嫉妬を差し引いても「無抵抗な龍馬を斬りたくない」と宣う陸奥守吉行は私とはキャラクターへの解釈が違いました。サッサとよお狙ってバンして。