朗読劇 ドラゴンギアスAnother〜再生のための物語〜 を観てきたよ

衛生兵エリック「人は絶望したときに死ぬんじゃない、希望を失った時に死ぬんだ!」


『絶望とは、希望のない様子を指す。英語ではディスペア。』
違います!みたいに言ってるけど同じこと言ってんジャーン。
ドラゴンギアスは全体的にこういう感じのシナリオでした。

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先に良かった点を…
・物販の「アクリルスタンド」がランダムじゃない
アクスタってランダムにせずに売ることが出来るんだ!と思うくらい、ランダムに販売されることが多い商品なので選んで欲しいものを購入できるという方式は本当に素晴らしかったです。嬉しい!原作のボードゲーム持ってないけど軽率に買っちゃう!
サイズは小さいけど、コンセプトがゲーム盤の駒だから仕方ない!不問!
と思ったら誤植されてて笑っちゃった!ご連絡くださいってフォームの一つも用意されてないの草。
用意してくれた

・「マイクスタンドは墓標」
目新しい事では無いんですが、時間軸が進むまで死んだキャラクターの立ち位置のマイクスタンドはその場に残るのは画として良かったです。死んだ後もキャラクターが居たということを示していて良い感じ。

・阿部快征氏
アドリブ楽しかった、しゃがんだところで犬を拾った回が好きでした。
アドリブって本筋を邪魔しないのが大前提なのですが、過剰に本筋無視してブッ込む方が簡単だと思います。その点、阿部氏のアドリブは挿入タイミングも塩梅も良かったです。楽しい〜!

・スクリーンで映像を使う「魔女の攻撃」やドラゴンの「見た目」
非常に視覚的にわかりやすくて良かったです。助かります。他にも映像を使う場面は塩梅が良かったです。過剰な映像と言うこともなく、画として共有しておいた方がわかりやすいものをちゃんと選びとって映していたというか。

・平和ボケ
平和ボケしてる人達のお話なのですが、ストーリーの中で彼らを「平和ボケしている」とは表現していないし、登場人物たちは必死で生きています。
真剣に生きているというパワーは最後までありました。 
観客の受け取り方としては平和ボケ一択ですが、真剣に生きてる姿として最後まで描いているのは本当に良かったです。真剣なんですよ、本人たちは。


以上です。この先は率直な、歯に絹着せぬ感想です。
台本とか購入しなかったので、本当に観たままの記憶なので記憶違いしてたら申し訳ございませんっ

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この作品は対戦ボードゲームが原作です。
つまり原作にはストーリーやキャラクターの人格は有って無いようなもの。
そこからの脚本起こし、観客への世界観説明を挟まなければいけないのはさぞ難儀だったでしょう。

「旅人」という登場人物がいるのですが、狂言回しのような存在で世界観説明をしてくれるのかな?と最初は思いました。
正体は未来のエリックなので、登場するシーンがかなり限定的。地の文担当かな?と思ったんですが、まぁちっともそんな仕事はしない。ていうか地の文がそもそもめちゃめちゃ少ない。狂言回しとして機能してるかと言うと…最初だけでした。

ざっくり登場人物(役目)を説明すると

魔女:対ドラゴンの要の巨大ロボを動かす。魔力が高いと選抜学校を飛び級して戦場デビューになったりする

騎士団:選抜学校各科を主席で卒業した7人で1部隊構成。お仕事は魔女の操縦する巨大ロボがドラゴンを攻撃をしやすいようにドラゴン及び人型サイズのドラゴンを撹乱すること

巨大ロボ:ヘクスギアス。操縦できるのは魔女だけ、修理修復が出来るのは騎士団の工兵(ジップ)だけ

ドラゴン:空から降ってくる。巨大。火を吐く

人型サイズのドラゴン:ドレイク。人型サイズで知恵がある。騎士団を攻撃してくる

巨大ロボ(魔女)+騎士団 vs ドラゴン+人型サイズドラゴン の構図になります。

世界観説明のおかげで原作ゲーム初心者・未プレイにも優しい…優しいは優しいんですがわかりやすいかと言うと別問題で、とにかくわかりにくい。
ストーリーが進んでいくと色々おかしくい点が出てきてそれがやたら気になるというシナリオでした。


例えば旅人が『ドラゴンと闘って数百年、消えた衛星都市は数百…なんと帝国の半分!』と重々しく語るのですが…

『数百年もドラゴンと闘ってるのに消えた都市少なくない?』

ドラゴンの脅威や規模感がイマイチ伝わってこない。
ドラゴンは空から降ってくるらしく、しかも数十年に一度らしいです。降ってこない間は実に平和なもののようで、たまたまドラゴンが降ってきてしまった世代のお話。…天災みたいなものかな。
騎士団は国費の無駄遣いって毎年予算会で叩かれてるだろうな…そういう意味では家系三世代で騎士団になっている騎士長のヘンリーが「政治の世界も考えた」みたいな発言をしているのは納得でした。いざと言う時の防衛費はその場だけの話じゃないもんね…

今作の騎士団は非常に平和ボケしている世代で、主人公の衛生兵エリックの「したいこと」も、
「病気や怪我で困っている人を助けたい」であって、お医者さん寄りの気質。ドラゴンを根絶やしにしてやる!打倒ドラゴン!のような雰囲気はないです。

襲来するドラゴンは、対ドラゴン兵器(巨大ロボ)を倒すと何故かその場で力尽きてしまうそうです。これは「何故か」で巨大ロボの機能に依るものではないようです。
更にドラゴンは死ぬと体躯から毒を吹き出して襲撃した都市を数百年間汚染するとのこと。

…あれ?ドラゴンて普通に倒せたらどうなるんだろ?毒出さないのかな?…私はゲップーとか魔家四将の「腐ってしまェェェ」を思い出してましたが、そこの説明はない。

ドラゴンとの戦いに対しての危機感や急務感が共感できないし、なんでこんなアナログな闘い方しか彼らはしていないのかという違和感でいっぱいです。
「平和ボケしているよね、人類」みたいなのはコロナ禍への暗喩なのかもしれないですけど、本当にもうそんなの見飽きていて辟易しているんです。トレンドって感じですね。

更におかしいんですが、魔女のレナは
「役目を終えたら(残った魔力を活かして)ロボの部品をつくる仕事に就いて一生を終えると聞いている」と語るんですが、龍戦争における魔女の帰還率は0%と原作サイトに記載されています。

このドラゴンとの戦争「数百年」続いているんですよね…
部品作りに従事しました、て戦場上がりの魔女いない筈では。
そも、対ドラゴンに魔女はかなり重要な役目の筈なのに選抜学校があって主席が騎士団付きの魔女になる…悠長なんですよね、魔女は人間とは異なる、とか言ってるんですが正直どう生まれてくるのかよくわかりませんでした。どういう存在なの?

一応「人型サイズのドラゴン」が現れちゃってもうタイヘーン!みたいなイベントが数百年のドラゴンとの戦争中に起こってたらしいんですが、そもそもドラゴンを脅威と思って数百年戦っている割に「城壁の高さが全然ドラゴンを防げる高さじゃない」とかも言ってて…

人類サイドが圧倒的にアホなんです。

アホが平和ボケしているので「必死に戦ってます!」というアピールがより滑稽に感じました…歴史から何も学んでないのか、そりゃダメよね。

更に、数百年も闘ってる筈なのに対ドラゴン兵器の巨大ロボと魔女の関係(ロボと引き離されると魔女死んじゃう!)を騎士団選抜学校の主席で形成されている騎士団員が『知らない』
帝国から騎士団に隠された真実!とかでもなく(そういう描写はない)、レナが普通に教えてくれるので「なんで騎士団が知らないねん」と。この無知のせいでラストに魔女は死にます。滑稽で恥ずかしい。

シナリオのガバガバな部分が引っ掛かって、物語の面白さを感じる前に気が漫ろになりました。

本作「朗読劇」なのですが「地の文」を担うのは主人公エリックだけ。
文字にすると「まぁそう言う演出もあるか」なのですが、エリックは自分が関わったシーンの地の文しか充てがわれていない上に、エリックも他のキャラクターがいるシーンでは基本的に会話でストーリーを動かしていきます。

…なろう系小説ってこういう感じなのかな

なろう系読まないのでわからないんですが、ずーーーーーーっと会話が続くので、朗読とは?地の文とは?という感じでした。
延々とキャラクター同士の会話が続いて、そこでストーリーを動かすシナリオはとにかく作りのダサさが気になります。
俳優陣も声優陣もキャラクターとしての役作りは全うしているので、本当にシナリオがガバガバ過ぎてクソなこと以外は良いんです、しかし朗読劇なのでシナリオのガバさは致命的。

このコロナ禍のご時世、観劇は高級な趣味になってしまいました。
チケット代が純粋に高い。
見合う作品で有れば全然苦では無いのですが、…見合わない作品は、本当に贅沢なことをしてしまったなぁと思うばかりです。
贅沢な嗜好品、貴族のお戯れ。
貴族じゃないので、チケットは持ってる枚数から増えませんでした。
敢えて言うなら、俳優・声優陣は本当に普通に頑張っているのでそこに観に行く価値があります。
でもその真剣な芝居をシナリオが水をさす、それがドラゴンギアス。



吐き出しておかないと気持ちが悪いので、この先も違和感凄かったぜ!という感想を書きます。

・主人公の『衛生兵』エリック
衛生兵のくせに仲間が致命傷を負った場面で
「応急処置はした、安静にしてれば大丈夫」と曰う。
嘘をついてまーすという素振りがない上に、すぐに「いや俺もう助からない、わかる」と重症の仲間に返されているのでエリックが無能に見えるんです。
このシーンでエリックは「お前は優しい奴だな」と死に瀕した仲間に言われるんですが万が一エリックが無能じゃなく大丈夫だよ安らかに眠れという意味で、応急処置で安静にしとけと言ったのならば「嘘が下手なやつだなぁ」て言った方が良かったよね。

「愛している」ことを「僕は君を愛しています」と書いてしまう文章は死んでると思うのです。
月が綺麗ですねと書けとは言わないけど、ドラゴンギアスは優しい奴を優しい奴だなと言っちゃう系なんだな、と駄々冷めポイントでした。

死ぬ芝居自体はワクワクするんです。
死ぬというのは絶対に体験したことがないことから作られる芝居なので非常に興味深い。でもシナリオの下手さがチラついて邪魔し過ぎる。
しかもこのシーン、仲間たる騎士団員が目の前で事切れそうなのに騎士長ヘンリーは「意識は戻ったな、俺は(前線へ)戻る」と、エリックは一応引き止めるような素振りをするんですが「何も言うな」と本当に立ち去ってしまうんです。
仲間の死に際にそばに居てくれない騎士長、ヒトの心がないのか?(というような冷酷なシーンはなく、どちらかと言えば団長はチームワークや円滑なコミュニケーションを大事にしていたようなシーンしかなかった)

この時死ぬのは重装兵クルスなんですが、エリックはクルスの死について
「僕は仲間の死を看取るために衛生兵になったんじゃない!」と悲壮に叫ぶんです。
舐めとんのか、と。
生も死も等しく扱えないのなら、向いてないから辞めとけとしか。
しかしこの程度の認識の奴が『主席』で選抜学校を卒業しているので…まぁ選抜学校が如何程の人数で騎士団目指してるかまでは語られてないしね、選抜に選ばれる倍率やべー!とか言ってた気がするけど、2人しか居ない中から1人しか選ばれない、とかかもしれないしね。平和ボケおそロシア

・対ドラゴンの戦地へ赴く際、騎士団員は手紙を書くのが慣習になっている
遺書です。大事だね。しかし恐ろしいのは平和ボケ世代「書くことが思い浮かばない」とか言い出す。
そこそこ書いていたエリックですが、母への近況報告と感謝という感じでこれ受け取るのは戦死した後の遺族だっていう意識が実に薄っぺらい。
騎士団員達は「生き残って自分の口で伝えようぜ!」とか言い出します。ドラゴンと数百年戦い続けてて、その中でこの慣習が生まれてるんだから先人達はきっとみんな何も残せず呆気なく死んだんだろうな、という想像力が団員達に無い。
戦闘で真っ先に死んだ重装兵クルス「みんなに伝えておいてくれ…」
手紙書いておけば良かったね。

重装兵クルスについては「無口」というキャラ付けがあるので一幕のセリフは「あぁ」「そうだな」が殆どでした。目配せ一つ、抑揚一つにもちゃんと芝居があるから…まぁ、良いんだけどさ…。
朗読劇でこの地の文の無さで「無口」ていうキャラ付けは辛いなーて思いました。でもクルスはちゃんと死に際のシーンが有ったのでその点はかなり良かったです、ラッキー!

・工兵ジップ「新しいヘクスギアスを作りたい」
新しいヘクスギアスはもう数千年作られてないらしい。
…新型が作られてないってこと?ドラゴンと闘う前から巨大ロボ存在してねぇか?…何の為に?
ガバガバかよ、台無しだよ…。

・喧嘩の絶えないペア「そう言えばこないだ貸した金のことだが…」「今度返すよ!」
古典かよ、というベタベタの死亡フラグ。ダサいんだコレが。

・「ねぇ知ってる?人の本音は最後の言葉にでるんだよ」
エリックがやたら繰り返すセリフなのでテンドンかな?と思ったんですがオチが無かった。滲み出る「こう言うセリフ言うとそれっぽくてカッコイイよね」みたいな…雰囲気だけで意味がないセリフでがっかりでした。


・騎士長だって初陣
騎士長ヘンリー「この戦いで終わりにしよう!子孫達が安心して暮らせる未来のために」
天災の如く突然降ってくるドラゴンなんだから「この戦いで根絶やし」とか出来ないよね…
(仲間が死んで行く展開)
騎士長ヘンリー「今日を生きる戦い、明日を生きる戦いをしよう」 
死人が出た事で目標が矮小化する騎士長、初陣だもんね、ヨシヨシ。

・魔女は魂でつながるヘクスギアスと離れると魔力を失い、命を失う。
衛生兵エリック「聞いてない」
何百年もドラゴンと戦ってるのに?知らないとかある?魔女は魔力と生命力が地続きっぽいことは都度都度言われてるんですが…ヘクスギアスと離れると一気に老いてしまうらしい。なんか展開が渋滞してる。
この場面も「魔女さえ生き残れば再び騎士団を編成してドラゴンに立ち向かえる」という前提の下の作戦で、いよいよダメだって時は魔女連れて逃げろとエリックは仲間から託されているんですが、結果として魔女はエリックの行為により死にます。まぁ帰還率0%だしね、馬鹿なの?

・魔女「悲しいってこういうことなのかな」
魔女は感情が死んでるらしいのですが、ヘクスギアスと離れた事で感情が戻ったらしいです。
エリックは「これは悲しい物語じゃない!再生の物語だ!」と魔女の死に際に語るんですが…
この後、自分が戦地でしていた体験を(恐らく)物語として幼い魔女に語っている未来のシーンになるんです。
ここで狂言回しの旅人はエリックの未来の姿でした、とタネ明かし。
再生はリビルドというよりはリピートする物語って感じなんですかね。突然のタイトル回収に寒くて風邪をひきそうです、ていうか回収はしてないな。なんか言い出しただけ。


・明確に死が描写されないJB、マシュー、騎士長ヘンリー
ガバすぎない?まぁ死んでるんでしょう。悲しいね。ちゃんと書きなよ…。


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二幕は上記違和感の大渋滞でしんどかったです。
演劇において脚本って本当に大事なんだな、と改めて痛感しました。
私は演技の妙や雰囲気、いっそ体感でカバーされていれば「細けぇこたぁいいんだよ!」で楽しめるタイプなんですけど、この作品は楽しめるレベルの脚本ではなかったです。

インタビュー読んだのですが、作り手が楽しんだ作品だったんだな、と思いました。完成品で楽しませて欲しいです。
https://25jigen.jp/interview/42653

声優と俳優の違いとか化学反応とか仰ってたんですが最早それも目新しいものでは無いと思います。
というかどちらも俳優業じゃないですか。
シームレスに活躍なさってる方って多いし「私の頭の中の消しゴムとか観たことある?」と思っちゃいました。
そりゃ、キャラクターの作り込み方の違いはあるでしょう。でもそれ板の上に乗る頃には完成しているのだからバックステージで楽しんでるスタッフの自己満足で語られるの本当に呆れてしまいました。

原作がボードゲームでルールの部分が難しかったからとかじゃなくて、本当に単純に「今なんて仰いましたか?さっきなんて言ってましたっけ?」の連続だからつまらないんです。
忌憚のない感想を知りたいところですが、友人や家族を招待するほど貴族では無いので残念です。だってチケット代が高いんだもの。
ねぇ知ってる?人の本音は最後の言葉に出るんだよ

舞台「弱虫ペダル」SPARE BIKE篇〜Heroes!! を観てきた

かなり厳しい話をするが、ペダステを信じて聞いて欲しい…

私はこの2.5次元作品が犇めき合う中で、ペダステという作品を一番愛しています。
その気持ちを以ってしても、今公演の大阪初日は「つまらないままペダステが終わった」「今までと同じペダステは観られない」と思いました。
観終わって悲しい気持ちになったペダステは初めてでした。

大阪初日の率直な感想は

・前髪邪魔とカチューシャの仕込みがあるのに東堂くんがカチューシャ着けるところが無いのってどういうことか
・客席が温まりきっていないタイミングでの修作の熱意がアンバランス
2.5次元作品における最近の東堂尽八には「柿原徹也氏の東堂尽八」を感じる機会が多い。これは秋葉友佑氏の東堂尽八にも感じたので2.5次元作品では「型」のようなものが定まりつつあるキャラクターなんだろうか
・君一年生?緊張してんの?緊張してるのは君だよ!
・ミスをした時に、ミスへの不安が伝わってくる
・ラスクラが始まって気絶するかと思った
・トラック漫談!伸び代しかない!
・なにが身体仕上がってるだ小関さんはシュッと細いわ! 
・呉南のエピソードだけめっちゃおもしろい
・前田プロフェッショナル
・世界で一番イケメンの街宮がここに居る
・番場!最高!2.5だ!
・演者のスキルに依ってエピソードの解像度が変わり過ぎる
・安先輩カッコイイ
・歌がダサい!2曲ともダサい
・ウィーウィルロックユー…
ポンキッキーズ
・巻島裕介の文字は「右下がり」なのに何でそれを表現しない?でもこの感覚は鯨ちゃん達「新生の人たち」が築き上げたペダステなのかもしれない。ここではそういうのを求めること自体が通用しないのかも…
・寒咲さんカッコイイ
・伊藤さんと村上くんが続投してくれて本当に良かった

等々…
全体的に永遠に盛り上がりきらないお話が続き、5時間くらいあるかと思いました。
初日から仕上がっていたのは呉南のエピソードだけだと思います。しかしながらそれも完成度が高過ぎることで他のエピソードとのアンバランスさが強く伝わりました。

初日だったし、舞台上も客席もお互いに探り探りの状態だと言えばそうでしょう。お互いに緊張していたというかフワフワした気持ちだったのかもしれません。

しかし、
「面白かったらチケットを買い足そう」と思っていた私の大阪公演はこの初日が千秋楽になりました。

この作品に12,000円という大金を払っても後悔しないかということに自信が持てませんでした。

今回の公演のチケット価格は過去最高です。
プレミアム席の範囲の広さは過去公演と同じくらいでしょうか、大海原のように広い。
ペダステのプレミアム席にはこれまでパンフレットが付いてきました。今回からはそれもありません。
チケット代が純粋に高い。
コロナ禍で演劇業界は打撃を受けているでしょう。
でもコロナ禍にあるのは世界中誰しも同じです。
値段に見合わない作品は選ばれなくなり淘汰されていくのではないでしょうか。

私はペダステを愛しているのでペダステがいつも「選ばれる作品」であって欲しいと思います。
「ペダステは楽しいよ!ちょっとお値段は高いけどそれに見合う作品だよ!」と言って回りたいのです。
ですが今作の初日に思ったのは「この値段でこのクォリティではチケット代が高すぎる」
大阪初日の夜は泣きながらレモンサワーを煽りました。


東京初日までの一週間、私は過去のペダステを改めて見ました。
ペダステを愛していると言いながら、イメージを歪ませてしまっているのではないか、私のペダステへ臨む気持ちの方に間違いがあったんじゃないか、と。
インターハイ編三部作に野獣覚醒、IRREGULARの円盤を久しぶりに見た感想は「おもしろ〜い!」でした。これが見たかったんだけどなぁ、と改めて思って梅酒を炭酸で割って飲みました。

ところでそろそろIRREGULAR以前の作品もBlu-rayで出して欲しいですね。

  • - - -

東京公演の初日、いつも通りのペダステが観られました。
今作のシナリオ上のレースは過去の闘いしかないとか、呉南のエピソードまで体感3時間くらいかかるとか小関さんが太いとかボックスステップがダサいとかそういうのは変わらないのですが、今思えば全体のテンポがかなり良くなっていた気がします。格段に観やすかった。

楽しく観て ♪青空のスポットライト〜聴いて ヒメヒメ踊って帰宅!ペダステ楽しい!


大阪初日とはなんだったのか


楽しくて面白くて明日もペダステ観られる!イェーイ!みたいな気持ちが湧いてくる、私の大好きなペダステを観ることが出来ました。ホッとした。
厳しい話は終わりだ!楽しかった話しようぜ!

・東堂
このエピソードが最初にくるのは本当に意外でした、だって「IRREGULARで既にやってるじゃん」

「修作が如何に東堂くんに対して『一緒にやろう』という熱意を持っているか」が大切だと思うんですが、その温めが足りない気がしました。
悪くいうと「修作が一人でやたら頑張って突然足をつる」くらい導入が不足していた気がします。
IRREGULARとは掛けられる時間が違うし語っているのは新開さんだとしても、修作の熱意の部分が説明不足だったように感じたのは少し残念でした。

見栄えに拘る東堂くんが自転車と出会い、セットした前髪やオシャレ着がボロボロになっても自転車に夢中になる、でも東堂くんは自分のカッコイイ姿を諦めない男。オシャレも全力の汗だくも共存させて自転車に乗る、勝つ!それが東堂くんのスペアバイクだと思っていたんですが…。
東堂くんが見栄えのためにカチューシャを着けるに至るエピソードは辛うじてカチューシャという単語が出てくる程度。
ここはIRREGULARの方が圧倒的に好きでした。
見栄えに拘る東堂くんのエピソードは見栄えにもっと拘って終わって欲しかった。

・福富&新開
新開さんと福ちゃんのスペアバイクは原作的にはかなり古いエピソードなので「ついに観られるんだ!」という気持ちでした。
今井くんは誰が演るのかな、パズルの人かな?とかワクワクしたのも忘れられません。田内氏でビックリしました。全然似てない!

新開さんがニセ福富に対して「フクトミくーん」と声を掛けるのは、偽物だとわかってて声掛けているので純粋に意地悪なんですがウェットに嫌味ったらしく感じさせないところが実に「新開さん」っぽくて2.5次元でした。

時人氏の秦野第一の先生が表情は見えないのに強い威圧感があって画面が引き締まる印象があって毎回楽しみにしていました。

・トラック野郎のトラック漫談
トラック漫談は伸び代しか無いと感じた通り、これぞペダステ!という感じで毎公演楽しかったです。
中でも「最終章をお見逃しなくショ〜」と捌けていった28日昼公演が好きです。
「あんまり面白くねぇから期待するな」と言われると「ドッカンドッカン言わせてやるぜ!という気持ちで挑め」とつい思ってしまうのですが「期待して待ってろ」と言われると「その心意気や良し!」と気持ちがブチ上がりました。
千秋楽での鋼のメンタル自己申告も頼もしくて、本当に素晴らしいものを見ました。トラックラップも楽しかったですね、全部楽しかったです。
トラック野郎のラスト、「トラックを失ったら俺はただの野郎ショ〜」もシンプルに面白くて好きです。
円盤に全公演分収録して欲しいな。

・信号機
信号機トリオがまた板の上に揃う事が有れば、この演出はまた見たいです。ペダステっぽい。


・荒北
このエピソードも既に野獣覚醒でやっていたので懐かしい気持ちになりました。時人さんの荒北さんで真鶴のレースの方も見たかった。

荒北さんのエピソードに入る時の福ちゃんの「導入は俺に任せろ!」は、メタな視点の面白さに加えて袖に走ってく荒北さんに「素直さ」を垣間見ることが出来て好きでした。

♪そのハンドルを握れ
ウィーウィルウィーウィルロックユーって感じ。
ペダステの劇中歌ってレース中の心情を歌っている曲が多いと思うんですが、この曲はそういう雰囲気ではなく割と唐突に歌い出す曲でした。
大阪の初日時点で「ペダステはこれからはこういう感じになるんだ」と強く印象付けた曲でした。
ライブじゃないからね〜の時代の終焉なんだ、と。
東京公演の時は耐性があったというか、来ると思って迎えればショックも随分緩和したので、今後のペダステを表す曲から荒北さん個人の歌だと気持ちが変わりました。

・金城
林田氏が現在の金城さんと打って変わってちゃんと幼く見えることが凄い。
諦めたり投げ出したりすると結果にならないと挑む金城少年の姿、身につまされる思いでした。…明日から仕事頑張ろ。

ただ、…小関さんはねぇ!細いんですよ!!


・巻島
IRREGULARで見てるので「懐かしい」
正直、GIOSからTIMEに乗り換える方のエピソードをやると思っていたのでビックリしました。
田淵氏演じる1年生の頃の巻ちゃんの姿は本当にふにゃふにゃで頼りなくて可愛くて、寒咲さんの格好良さが際立つことでかっこいい寒咲キャプテンの体感が凄くて…!
ゴールの瞬間の腕の角度がいつも完璧でした。2.5次元作品としては今回一番再現度が高かったと思います。
乗り換えのエピソードもいつかペダステで見たいな!

巻島のダンシング矯正先輩の一人、時人氏から滲み出る「イイヒト感」というか、「この先輩はあくまで善意で巻島にアドバイスをしている」というのが伝わってきて、ペダステはモブが本当にいい仕事をする。

・ラスクラ
正直初日はラスクラをやっている事に「嘘でしょ?!」と思いました。
弱虫ペダルのレースで屈指の人気を誇るこの競り合いを部分的に切り取って演るとかどういうおつもり?!と。
古参の厄介丸出しな気持ちになったのを覚えています。

東京公演5回観たら流石に見慣れて「でもこれペダステでやったのもう7年くらい前だしな…」という気持ちに軟化しました。
まぁでもやっぱりラスクラは無くても良かったとは思うけど。なんで???て気持ちがいまだに有る。


喫茶お茶カフェ入店から呉南の過去のエピソードを開始する前の前田氏による一連の長台詞、芸術でした。
一瞬も油断させないというか釘付けにするパワーがあって、勿論面白くて楽しい。

・呉南
クローズゼロが始まるので本当にビックリするんですよね…ペダステで「殺陣」という言葉を使う日がくるとは思っていませんでした。
待宮役の前田氏も井尾谷役の田内氏も本当にお上手で、出会い頭にゼロ秒で殴り合いが始まる呉南工業高校、怖過ぎて…ギプスのついた足や松葉杖で殴ってくる描写原作に無いんですが?!待宮くんがいかにヤベー奴かということが120%体感出来て最高でした。
原作読んでた時は「4階から突き落としてやる」のイビーに「ヤベェ奴だな」て思ったんですが、呉の闘犬マジおっかねぇ。
そりゃこんな治安悪い学校に通いますってなったら「終わった」という気持ちになるのも止むなし、という説得力たるや。

待宮くんが命綱になるまでの流れというか、井尾谷が掴まるポイントを用意する流れるような前田氏の動きが美して大好きで毎回目で追ってました。
パズルライダーの皆さんが襟首あたりを掴んでいるモーションが命綱街宮を強調していて、こういう時にパズルライダーという存在の効果に改めて驚きます。自然に馴染み溶け込みシーンに強いインパクトを与える。

・志木くん
ストーリーに「(井尾谷は)何かで日本一になりたい」と思っていたことを上げてくれる志木くんがちゃんと登場してくれて嬉しかったです。中寺先輩は出てこないけど志木くんはちゃんとキャスティングされる、この取捨選択にもペダステらしさを感じました。

・番場くん
番場くんは至高の2.5次元でした。
頬を摩る所作とか本当に漫画から飛び出してきたようでした。
小物感も番場パンチのへなちょこ感も「こんな奴に待宮も井尾谷も絶対に負けない・屈しない」という説得力がありました。

待宮と井尾谷のラストの小競り合いから殴り合い始める直前の鞄の放り出し方が良くて「何も考えず自然体で放り出している」という感じがして毎回楽しみに待っていました。
呉南のエピソード、かなちゃんさんの件と20メートル引き離しバトルと浦久保くんとの衝突も絡めて2.5時間かけて改めて演ってほしい。観たい。

待宮くんのエピソードが終わったら上がれ新開オーケー寿一!で光の速さで京伏のエピソードに移行するんですが、このたった一瞬の為であっても「喫茶お茶カフェ」をちゃんと舞台上に復元するの本当に凄い。秒。

・京伏
伊藤氏も村上氏も全然雰囲気が違ってビックリしました。
安先輩がとにかくカッコイイ。
田淵氏は1年生の時の巻ちゃんと全然雰囲気が違っていて「関西では負けなしの選手」の貫禄が凄くて…カッコイイ先輩でした。
安先輩はこういう顔をしていたんだなぁ、とも。まつ毛が長くてラクダみたいな顔だなぁって原作では思っていましたがイケメンだった。
後輩が「せんぱいへ♡」てお手紙書いちゃうのも頷ける。

石垣くんは坂道くんに「ふわふわした気持ちで走っとたわ」なんて言っていましたが石垣くんの1年生の時のインターハイ、ズッシリと重く…インターハイ頑張って欲しいんですが彼らがどうなるか、既に知ってるのであーもうっ!あ〜〜もうっ!!と語彙を失うばかりです。


♪集まろうぜ
ウィーウィルロッキューは「来る!」と思ってると耐性がつくというか、まぁ慣れたんですがこの曲はどうしてもなんか照れちゃって、恥ずかしくなっちゃう曲でした。耳に残る・思わず口ずさむような歌という意味では正解なんですが、なんていうか…ダサいし…。
私は♪勝つために今必要なのは〜 とか ♪勝ちたいどうしても勝ちたいんだ〜 みたいなレース中の心情を歌うペダステ曲が好きなので「走っていない時の彼ら」の歌は照れてしまのかもしれないです。くすぐったくて慣れない、スクールミュージカル弱虫ペダル


・エピローグ
待宮くんと荒北さんが洋南大学で邂逅するシーンは本当にサラリとやっていました。待宮くんが洋南の自転車部に入るまでのエピソード、2.5時間くらいかけてたっぷりと是非観たいんです、やってくれ。荒北さんをまくためにまきびしを撒く回が好きでした。満員電車の回も意味わかんなくて最高。

石垣くんの上京エピソードとしては「東京に馴染むんや!」に対する濃い醤油味のうどんの方が嫌味が効いていて好きなんですが、ペダステでは馴染めないと悩む姿よりも孤独が優先されたようです。
りんご握りしめて「リンゴにさえも仲間がいる」はホームシックが限界頂点って感じで大好きです。

アパート前の母娘の前田隆太朗氏、セーラー服を着ている以外の見た目は街宮くんなのに可愛い女子中学生にしか見えませんでした。
「ちょ〜〜カッコイイんですけどーー」の言い方が可愛い過ぎて毎回新鮮に「可愛い」と思いました。
流石前田プロフェッショナル!
「私が新しいパパ見つけてあげる」\\ジャキンッ//が原作には1mmもないシーンなのに何故かすんなりと受け入れさせてしまう、そんなペダステの力を感じるシーンでもありました。

♪over
♪恋のヒメヒメぺったんこ
楽しい!

  • - - -


あー楽しかった!
チケ取りの過酷さも困難も失敗もペダステは全部楽しさに変えてくれるし、まだ観た事のない公演を初日を千秋楽を劇場へ向かうという素晴らしさを私に齎してくれます。
今日もペダステを愛しています。
なので前回購入者先行は篩い落とさないで欲しい。

28日昼公演のチケットを持っていなかったのですが「今から1つも見逃したくない」と思いLoppiに猛ダッシュしました。
当日引き換え券の購入はwebでは前日22:00までだけどLoppiからの直接購入なら23:59まで購入可能!ちぃおぼ!

ペダステ新インターハイ編FINALを観てきた

楽しかった。

 

 先ず公演が発表された時に完結!と書かれていた事に死にそうな気持ちになったことを覚えています。

2日間を描くのにおよそ3年掛かっているのに、1回の公演でインターハイ最終日のゴールまでを描くと言い切られた衝撃は大きかったです。

ダイジェストでお送りする気なのか?!年表でも読み上げるのか?!取り敢えずチーム2人に

 

「手強い奴らだったなぁ、青八木!」

「あぁ、純太!」

 

とか言わせて呉南の浦久保・庭妻との闘いは有ったことにして終わらせちゃうのか?!手嶋さんと葦木場くんの山岳争いとか有る?!とかそんなことばかりを考えてました。

悲しい話ですが、終わらせることを急く理由を考えると「畳まれてしまうのかな」という不安や悲しみで一杯でした。きっとこの不安は私だけでは無かったと思います。

とは言え、新作公演楽しみ!円盤たくさん買っちゃお!最前クレ!クレナイ!トラック追ってゲネご招待は勘弁してくれ!等々…チケット確保に奔走しつつ心から楽しみにしてました。やっぱりペダステが大好きだから。

例え最後でも、観たい気持ちが勝ちました。そりゃそう。

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さて、2月21日金曜日14時から新作が幕を開けました。初見の感想は「凄く楽しかった」に尽きます。

1回観ただけでいつもの通りの楽しくて面白いペダステに、頭がパーになっちゃうかも!という感じ。いつも通りのペダステでした!

ペダステ観劇はスポーツか?という観ているだけなのに疲労する作品なので2時間50分も見たらお尻が割れてしまうんじゃないかと思ったんですが、銀河の座席はふかふかだし、なにより休憩が挟まることによって1時間少々のペダステを2回観るような感じで凄い楽だった。

1時間20分の間にたくさんの事があるんですが全部目が離せなくて、スピーディーなのに心にガツガツ爪痕を残して進んでいって…終わるとあっという間だったな?!と驚きました。

正直、過去の公演のいくつかには「何時になったら ♪過酷さも困難も〜 が始まるんだ」とか「体感5時間くらいある」とか思ったこともありました。今回は過去最長の公演時間にも関わらず、あっという間でした。

面白かった、に加えて「悲しく無かったこと」が凄く嬉しかったです。

もっと悲しくて寂しくて、見る度に作品が終わってしまう事が辛いという気持ちで劇場を出ることになるのではないかと危惧してました。

実際は終演後は楽しかったー!とか早くまた観たいー!とかのポジティブな感情しか湧いてこなくて。毎公演心から楽しいというこの事実。幸福です。

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今回の公演の所感を書き残しておこうと思います。

演劇のテクニックの事はわからないので気持ちの儘です。記憶で書いているので前後諸々間違ってるかもしれませんが見逃し配信がまだなので許して頂きたい。

 

・女子ファン

\\指差すヤツやってー!//

 この時、純子が「森の忍者?!森の忍者?!」と東堂さんの異名を挟んでくるのが好きでした。

指差すヤツをやるメイドの腕を下ろす幽虎とか。

大阪公演ではコーレスになって更に楽しかったです。

ペダステ名物面白モブが初っ端から登場したことで「FINAL」に対する緊張感がかなり柔いだ気がしました。「いつものペダステだ」と思えました。

 

・OP

 いつもの「スタートを切る」から始まるのですがとてもテンポが速くて力強くて、柔いだ緊張感がまた高まりました。

今回のOPダイジェストも「弱虫ペダルの最初」からやります。

その中でパズルライダー役の村上渉さんが福ちゃんで登場するのですが、これには初っ端からエモーショナルでビンタされました。村上さんは「箱根学園、始動」で福ちゃんを演じられているので、突然の「本物」の福ちゃんとの再会に心が躍りました。2016年10月10日ぶりの再開は一瞬ですが、本当に嬉しかったです。

 

・新インターハイ編あらすじ+名乗り

 新インターハイ編での各キャラクターの見せ場になるシーンが順々にスポットライトを浴びて行きます。

一つ一つのセリフにはそのシーンの記憶が蘇ります。本当にここがカッコイイんです!

全てのキャラクターがこのインターハイの道の上で生きてきたことを描くダイジェストの最高の締めだったと思います。

駆けてきてスポットライトを浴びる伊藤玄紀氏の杉元は格好良くて痺れます。伊藤氏の杉元もまた、インターハイを走る1人の選手でした。

スタート前の手嶋さんが話し始めるのを遮る総北の面々と鯨井康介氏のサイレントな小芝居はペダステらしくてのっけから楽しい!個人的にはめちゃめちゃ顰めた顔を寄せていくパターンが好きでした。

 

・スタート前手嶋と葦木場「のぞむところだよ、純ちゃん」

 このシーンは舞台上であるからこその物理的な距離感によって改変されていて、原作の時とは違った情緒がありました。

原作では手嶋さんの心の声に呼応した葦木場くんはその後、すっとぼけているのですが(それも大好きだったけど)、ペダステでは完全に手嶋さんに向かって話しを続けていて「会話」になっていました。結構大きな改変なのですが凄く自然なシーンになっていました。

これはスタートラインの時に手嶋さんからのドリンクを「受け取れない」と答える葦木場くんのシーンが改変されて挿入されていたことを思い出しました。

ペダステは原作の画面儘・セリフ儘ではないシーンがよくあります。

そのシーンで「伝えたいこと」はオミットされず、改変して自然に挿入することが多い作品で、2.5次元作品としては再現度の低いやり方ではあると思うのですが、原作へのリスペクトがあると感じるのはこういう場面です。大事なことはちゃんと伝えている。

また、このシーンから既に葦木場くん役の富永勇也氏の芝居には多分に情緒が含まれていると言うか…セリフに抑揚があって、ヒートアップの頃から彼を観ている私はシンプルに感動しました。失礼ながら、「まだ初日なのに、演技がかなり良いな?!」て。

 

・スタート前呉南

 原作で読んだ時「運営本部前だぞ」が見開きで、ゾッとしたことをよく覚えています。待宮くんとはまた違う戦略の浦久保くんの怖さを語るに十分過ぎるシーンでした。ペダステでは少しだけ危機感は薄まって鏑木くんのピンチ感はマイルドになっていたように感じます。

栗原大河氏の「ナハッ」の表情が本当に素晴らしくて、赤茶色い照明の下では見え難いのですが目を凝らして見ました。本当にいい表情をするんです。カメラはグイッとアップで少し煽りで抜いて頂きたい!

 

・後方集団

 泉田くんによる「ティーーーーーブレイク!してたんだろぅ?」がペダステらしいです。

何故かネチっこく喋り続ける泉田くん。原作にはない表現なのにペダステだと慣れ親しんだ泉田くんです。ペダステは2.5次元作品だけど、3.0次元の俳優の芝居と高い親和性を持つ作品だということを意識せず先導してくれます。

「Tシャツを着ると別のチームの選手になる」という

ペダステのお約束と「後方集団です」の名乗り一つでさっきまで泉田くんだった河原田氏は「泉田にそっくりな選手」に、手嶋さんだった鯨井氏は「手嶋にそっくりな怪我をした選手」に変わります。

私は演劇において宣言は非常に強い力を持っていると思っています。「後方集団です」と名乗られたらキャストは後方集団の選手になるのです。衣装よりもずっと想像力を支配するパワーを持っていて、こういった宣言による場面の急激な変化に演劇の凄さを体感するといつも心震えてしまいます。

 

さて、熊本台一のキャプテン『鬼軍曹』井瀬慎也くんをリーダーにした後方集団の面々は自転車に乗っていることを無視しだしたり、全員それぞれが自由に動きだしていきなり目が足りなくなります。楽しい。本当に「ペダステらしい」シーンです。円盤や配信で如何程収録されるかわかりませんが、このシーン百瀬氏がすごく可愛いくて是非百瀬氏を目で追って頂きたい!

 

・陸ザメ

 集団が蛇になることを前回のインターハイ3日目を描いたTheWINNERで体感していたので、サメも見ることができるだろうと思っていました。

サメは、怪我人を切り捨てた後なので少人数精鋭という点まで含めてあのスッキリした陣型だったのかな、と勝手に思っておきます。

尾ビレカッコイイ。毎回「尾びれです」を待機してました。背ビレはたまに跳ねるのが可愛い。

 

・山桜

 インターハイ3日目は全力を出し切った選手はDNFしていきます。

前作で京都伏見の木利屋くんが落ちていったシーンが大好きだったのですが、今作は山口くんが真っ先にその場面を迎えます。

仕事をやり切って倒れ込む彼の姿は悲壮感はあまり抱きませんでした。それよりももっと、讃えたい気持ちが勝るというか。

先行する総北・箱学を捉えて彼のインターハイは終わります。最後までインターハイを走りきれない事はどれほどの覚悟なんでしょうか。

演劇で、ヒトの身体で表現されたこのシーンは漫画を読んでいた時よりもずっと山口くんの「最後の走り」を強く意識させるものでした。体感って凄い。

わりとすぐにパズルのお仕事が始まるので、さすが監督!とも。

 

・呉南vsT2

 チャンピオンで、集団に飲み込まれた手嶋さんが黄色いジャージの選手に声を掛けたら青八木くんだったシーンを見た時「漫画みたいだ」と思ったことを忘れません(漫画だよ)。

絶望の手嶋さんの前にスポットライトの中に飛び込んで現れる青八木くんはこのシーンの震える感情を甦られせてくれました。

同調直列走法(シンクロストレートツイン)、こんなん泣いちゃう!としか言えません。

手嶋さんと青八木くんが2人っきりでインターハイの舞台で走るのって初めてではないでしょうか。ペダステ的な演出で「前にも有ったよ」とかだったらお恥ずかしい!でもとにかく、チーム2人が2人で走ってるこの姿がエモーショナル!ファンタスティック!天晴れ!早く配信でもう一度見たい!

「俺たちT2、チーム2人」のセリフに『そう!あなた達はずっと2人、2人っきりでチーム2人を演じ切ってくれた!』と勝手に胸を熱くしてしまいます。

同調直列走法で追いついた後の浦久保くんからのデスゲームの挑発、漫画で読んでた時は「やめて!ノらないで!サッサとシンクロストレートツインで先頭の総北に戻って!」とか思ってしまって勝負に乗る手嶋さんが嫌だったんですけど、ペダステではサクサク進むので嫌とか思ってる暇を与えませんでした。

おまけに、さっきまで死ぬほどエモくて泣きそうだったのに「5番…バンドウエイジ」とか言うんです。ペダステのこの緩急、本当に楽しい。

「マイケルジャクソン」の回の鯨井純太の「アオッ!」の返しが好きです。「みのもんた」の回の「誰が名司会者だ」とか「リチャードギア」の「なに嬉しくなるようなこと言ってんだよ」とかも。

円盤に…全部…11回分収録してください、てアンケートに書きます。WEBアンケートの受付は3/31まで!

今作のペダステは弱虫ペダル名物過去回想についてはいつも通りセリフの語りで補われていますが、それでもかなりエピソードをカットしています。

それによってレースの展開自体にはより集中し易くなっていると感じました。

「勝ってくれ純太」の青八木くんの全身から溢れる感情のエネルギーが凄くて、悲しいシーンでもないのに「気圧されて涙が出る」という回が何度かありました。青八木くんというか八島氏の演技に。青八木くんのDNFの時に再びこの現象に見舞われます。

「三年間共に闘ってくれてありがとう」はこのインターハイ編を戦走り抜いた、チーム2人を演じる2人にも通っているのでメタな視点でも胸を掴まれるセリフでした。泣いちゃうってば!

T2vs呉南はレースの勝敗のハラハラよりも役者の芝居が凄くて…本当に最高の2人だった。

 

・庭妻繁典

 「庭妻くんおるやんけ!智平さんやんけーーーー!!!」と心の中でスタオベしました。段竹にお髭がある時点で気がつくべきでしたが。

キャストが発表された時に庭妻くんがいなかったので「何考えているんだペダステ!浦久保くんを語るのに庭妻くんがいないとか信じられない!まぁパズルライダーの誰かが下は黒のスパッツで『呉南の庭妻です!』みたいな感じでやるのかな?!」等と思ってたんですがちゃんと居ました庭妻くん!

庭妻くんは浦久保くんの良心であり、浦久保くんの天才故の孤独さの語り手として不可欠なので本当に居てくれて嬉しかったです。

呉南の選手は東村はいませんが、里崎がいます。嬉しい。

T2との決着後、手嶋さんのセンサーを捨てようとする浦久保くんを止める庭妻くんに「これが見たかったのだ」と思いました。

庭妻くんの浦久保くんへの友情ってとにかく慈愛に満ちている気がします。庭妻くんの浦久保くんへの友情、良心としての存在意義がそこに集約されている大好きなシーンです。

 

・浦久保優策

 ペダステでの新キャラクター、浦久保優策くんはなんと言ってもその髪型に「浦久保くんってドレッドヘアだったんだ」と知ることが出来ました。

浦久保くんの「勝ちたい」は友達への想いで満ちているのが特徴的です。先輩達との関係性を示すシーンはとことん削られているので、より「友達の為に」というキャラクターになっていたと思います。

彼の見所は表彰式のシーンに在ると思っているので後述します。

ジャージの袖がかなり余っていてその細さに驚きました…細っっ!

 

♪M1

♪ただ早くて ただ強くても 足りないーー

♪ゆけ ゴールまで エェェスたーちよーー

八島氏のソロパートってこれまでも結構機会があったとは思うのですが今作も実に味のある歌声を披露してくれております。大阪千秋楽では感情が昂ぶり過ぎてメロディの方が気遅れしてしまったのでしょう!

T2のデュエット部分が凄く好きでした。いや全部好きだった。

ペダステはミュージカルではないのですが、劇中歌には状況や感情が物凄く含まれていて…ライブじゃないからね!とは言いますが歴代の劇中歌でライブやって欲しいくらい…流石に無理かな。せめて、せめて楽曲配信して…。

 

・DNF青八木

 「楽しくないわけないだろう」という青八木くん。彼と彼を演じる八島氏のインターハイのラストランは物凄いエネルギーに溢れていて、またしてもその気迫に圧されて涙が自然に溢れてきました。

特に2/22マチネと2/28ソワレは八島くんから迸るエネルギーというか圧が凄くて、28ソワレはこの世相から「明日ちゃんと千秋楽の公演はあるのか?」と不安になるほどでした。「今日が千秋楽じゃないよね…?」と休憩の時に友人に確認してしまうほどの熱演とその公演を観ることが出来たという事実。幸福です。

八島くんの熱演は「芸術の圧が凄くて涙が出る」のだと思います。私は岡本太郎太陽の塔を初めて見た時に強い威圧感を感じたのですが、その時の気持ちに近いものが八島くんの演技にはありました。演劇は芸術であることを今一度、体感を持って思い知りました。

 

「あれが俺の三年間のゴールだ」と箱根学園の選手の背中が見えるのですが、ここでの音楽が物凄くカッコイイんです。早く配信で観たい聴きたい!サントラ出して欲しい!manzoミュージックが大好き!

全力で激漕ぎした青八木くんが鏑木くんへ「お前のお陰で賑やかなインターハイだった」と告げて総北最初のリタイア者となります。

でも、ここは悲しい気持ちよりも先に、これからの鏑木くんに物凄く期待を持たせてくれます。悲しんでる暇を与えません。

 

・銅橋vs鏑木 DNF

 弱虫ペダルという作品において「先輩」の存在はとても大きく、影響力が強いです。

鏑木くんは憧れた小野田くんと見守ってくれた青八木くんの二人の先輩の力を得ているキャラクターです。更に彼には負けられないライバルも既にいます。強くならないわけがないんです。真っ直ぐ強く進む期待のルーキーは観ていて本当に愛おしい存在でした。

ていうか原嶋元久氏が上手い!演技がうまい、ペダリングが上手い!銀河で下手側に座った時に顔の向きの導線上の座席だった回が有ったのですが、その表情の必死たるや。鏑木くんは全力で青八木くんの意思を継いで走っていることを肌で感じました。彼もまた演技の気迫が凄い。

ところで私は彼が挨拶で語る「毎日が誰かの初日で、誰かの千秋楽」という言葉が大好きなのでなんとか円盤に収めて頂けないものかと。

毎日、毎公演が誰かにとっての特別な公演であるということを言ってくれる原嶋氏のこの挨拶は後世に語り継がれるべきだと思います。私は語っていきます。

 

今回からの新キャスト、岸本卓也氏の銅橋くんは物凄く「兼ちゃん」でした。

キャストが変わったと思えないほど自然に銅橋くんはそこに居ました。兼崎健太郎氏の演じてきた銅橋正清を研究してくれたのかな、と思いました。キャストはキャラクターの外殻、その血と骨と肉をもって板の上で「キャラクターそのもの」としては変わらずに作品の中で生きていることを体感によってまた知る、そんな銅橋くんでした。

銅橋くんが激漕ぎするシーンで、葦木場くんがずっと銅橋くんを見ています。私は葦木場くんが大好きなので、後輩を「しっかり見ている」先輩としての葦木場くんの姿が観られて凄く嬉しい気持ちになりました。サイレントでもキャラクターの存在を示せるようになった富永勇也氏の成長に震えたシーンでもありました。

今作、事ある毎に葦木場くんは他のキャラクターをよく見ていました。その視線の先に今全力で頑張っているキャラクターがいることがなんだか無性にキャラクターの「生」を感じて嬉しくなりました。

 

・最速の槍 泉田

 どんな時でも楽しくて面白くて実にペダステ!という感じがするんですよね、泉田くんの筋肉たち。

3代目のファビアンはお髭が大変可愛らしいです。そして歴代で一番「父」っぽい。そんな栗原氏のファビアンが大好きだったのですが、毎回3秒くらいしかご尊顔が拝めない(顔伏せてしまう)ので毎回めちゃめちゃ目を凝らして見ていました。

今回から登場のペテルとマーク。さっきまで激漕ぎしていたスプリンターにそっくりのトップガン

マークのリップ音が堪らない!ペテルの日替わりは大阪の「なんでやねん」がシンプルで好きでした。

 河原田氏はずっとオリジナルキャストで泉田を演じ続けてくれて、可愛い後輩から強く頼もしい先輩になり、ミスターペダステ!の貫禄でした。

彼がずっとこの作品に出演してくれていたからペダステはずっと「ペダステ」で在り続けられたと思っています。最高のラストランでした。

…700mも彼が引き離したのに山で追いついてしまう手嶋さん、クライマーとしての才能の塊じゃない?

 

・山岳賞(葦木場vs手嶋)

 私は葦木場くんを世界で一番愛してるオンナなのですが、原作でのこの勝負が本当に地雷というか…未だに葦木場くんが負けたことが悔しくて悔しくて堪らない、負けた葦木場くんを許せない、もう彼を選手として応援することは出来ないかもしれないと思っていた勝負でした。

ペダステでその勝負を観ることでいよいよ持って葦木場くんを嫌いになってしまったらどうしよう、「とみーのせいにしよう!」くらい私は酷いオンナです。だって葦木場くんが好きなんですもの。好きなものは嫌いになりたくないのでそんな戯言で足掻いておりました。

そんな拗らせた私の気持ちなんてペダステには関係ないので、手嶋さんが2年生を引いて登った先で葦木場くんは「勝負しよう!」と宣います。

流れる第九、雪ちゃんに発射させられて「オウ!」と力強く答えて葦木場くんは仕掛けます。痺れました。世界で一番カッコイイ!

後輩たちに勝負へ送り出される手嶋さん。急転のこの勝負の始まり、非常にファンタスティックです!

原作では兎に角過去回想の長い勝負ですが、ペダステでは過去回想と東戸くんは潔く削がれています。でもテンポが良いので2人の過去の詳細は知っていても知らなくても自然なシナリオだったと思います。ペダステでは「今」2人が激漕ぎしている勝負に焦点が絞られるので非常にレースに集中し易くなっていたと思います。

ところで、東京公演の記憶が曖昧というか、私が気が付いたのが大阪公演からだったのですがハイタッチをSEだけではなく実際に手を合わせてしていて、偶々座っていた席の関係でその生の音を聞くことが出来て震えました。最高。

 

 このシーンで語ることは一つ、「葦木場くんが楽しそう」です。

富永氏が実に楽しそうに、嬉しそうに、正に心が弾むように走っています。全力で、でも手嶋さんに向けている表情はずっと笑顔で。

そんなことが出来たのか!と富永氏の演技の成長ぶりに本当に感動しました。好きなキャラクターの生を感じるというか、「葦木場くんは今楽しいんだ」というのが伝わってきて、私も本当に嬉しくなってしまうシーンでした。負けちゃう勝負なんですけどね。

全力で走る鯨井氏、富永氏に対してどっちが先にゴールしたかなんて、ただそれだけの事でした。全力で走って、闘って、勝った方と負けた方がいる。実にシンプルな事でした。

「悠人に箱根学園の誇りを語っていたのに」とか「箱学のエースが山岳で飛び出して「手嶋さん」に負けるなんて」とか「箱根学園が負けたのは葦木場くんのせい、この戦犯!」とかずっと思っていて、私にとってはこの勝負の勝敗は「推しを自ら否定してしまう」という本当に辛いものだったのですが、ペダステでの体感によってラストの真波と坂道の一騎討ち同様に勝敗はただの結果であったと素直に受け止めることが出来ました。

葦木場くんのことが好きなまま、彼のインターハイを終えることが出来ました。これを救いと言わずになんと言えば良いのでしょうか。拗らせヲタクにはわかりません。

この勝負をペダステを観て、以前よりもずっと好きになれて、今は原作を読み返してもあまり葦木場くんを非難する感情は浮かんできません。原作だけでは触れられなかったキャラクターの心情に少しだけ近づけたような気がします。そういう不思議な力が、2.5次元にはあるのです。

葦木場くんが刺したところで手嶋さんはまだ一漕ぎ踏み込んでいる、というシーン描写も秀逸だったと思います。

 

 今作で初めて富永氏へ「大きい」と思いました。

葦木場くんは大きいんです、2m2cmもあるんです。

実寸2m2cmの若手俳優なんていないので「大きく見えること」は非常に重要なんです。

富永氏の身長が前回公演から著しく伸びたわけではありません。彼はその芝居で私に「大きい」と思わせてくれたのです。本当に驚きましたし嬉しかったです。

正直、顔は似てないんです。そもそもペダステはビジュアルを似せる気なんてないかもしれませんが。

でも今作、富永氏の葦木場くんに「葦木場くん」を毎公演感じることができました。大好きな葦木場くんが血と骨と肉を伴って走っている、嬉しくないわけがありません!好き!無理!しんどい!大好き!

今作は演技もペダリングも富永氏の芝居は「今日が最高」を毎日毎公演更新し続けたと私は思います。

大阪千秋楽は熱が入り過ぎて、芝居は情緒よりもエネルギー極振りって感じでしたけど、観てるこっちのボルテージも上がっていたのでまぁ良し、GOOD!最高!マーベラス

毎日毎公演観るのが幸せでした。幸福です!(n度目)

 

倒れ込む手嶋さんで暗転、休憩。

ここまで本当にあっという間の1時間20分でした!

 

〜休憩〜

・京都伏見

御堂筋くんがまだ仕掛けていないことを思い出しました。書き損ねてましたが、スタート直後の水田くんのフェイズ82のジェスチャーが可愛くて大好きでした。追い抜かれていく時の水田くんの方向転換が凄く自然で上手い。水田くんもインターハイを走る1人の選手なのですが今回の彼の散り際の「さらば!インターハイ!」はコミカルですが切ない。

 

・先頭を走る総北2年生

 既に総北は3人しか選手がいないんですが全く悲壮感がありません。3人で肩組んでゴールする夢を来年も見てほしい。とはいえまだまだ後ろから追って来ちゃうんですよね、他の学校の選手が。

この束の間の総北2年生の友情感、可愛いし愛おしい。

 

・小鞠vs悠人

 天羽氏は体の関節どうなってるの?!という柔らかさでビックリします。何度見てもその首の位置はどういうことなの?!と驚きました。人体の不思議。

「俺ちょっと変わったんスよ」ここにきて悠人の1年生らしさ、可愛らしさが満開です。

2日目スタートの鏑木くんだってそうだったのに「漫画」だから忘れがちになるんですけど、疲労ってそんな一夜明けて回復するもんじゃないのは当然ですよね。黒田くんと同じ気持ちで「あぁー悠人にはまだ経験が!」とショックを受けました。でも飯山氏が「誰が!2対1だって?!」と戻ってきてくれた時の頼もしさは半端なかったです。

天羽氏、飯山氏もまたオリジナルキャストで演じ切ってくれた2人です。その2人がインターハイ最後の日に一年生同士の一騎討ち。気持ちがアガらないわけがない!悠人は音楽もカッコイイので本当にサントラをなんとか出して頂きたい…。

そういえば、ここしばらくcomplete!おじさん見てないですね。

 

・鳴子・真波坂の攻防

 カーブ二つと弓池、の弓を引く真波のマイムが好きでした。かわいい。

2つのカーブを越えた時に流れるやたら牧歌的なメロディが印象的でした。

そんなにここで鳴子くんが消耗するなんて!と後ほど驚くのですが…相手が真波ですもんね。

 

・鳴子DNF

鳴子くんはどうして最後までインターハイを走りきれないのでしょうか。でも彼もまた散り際の美しい男です。

「自転車と友達をこよなく愛する鳴子くん」を感じることが出来ます。本当に鳴子くんは友達を大切に思っててヒーローみたい!カッコイイ!

「覚えてるのはワイだけやろなぁ」には私はつい、和田雅成氏のことを思い出してしまいました。

たくさんの今泉がここまで繋いできてくれたんですよね。百瀬氏が長く鳴子くんを演じてくれたことと合わせてここまでの鳴子章吉の来た道へ想いを馳せてしまうのでした。雑念に塗れていると言われれば、そう。

 

・御堂筋vs今泉

御堂筋くんと今泉のライバル観って実に高校生らしい応酬なんですよね。相手がハマればザマァみろ、覆せば全然平気だった!みたいなツラをする。仲良く喧嘩して。

ここでエース同士が闘ってしまうから毎年小野田くんと真波が一騎討ちに!つい何か言いたくなる展開なんですがペダステで観てると体感が勝ちました。

 

・水飛沫、水溜り

富永氏の水飛沫が大好きでした。

ゆっくり動くのって難しいんですけど、頑張ってたし長い腕を大きく回すダイナミックさが堪らない!最高!100点!優勝!という気持ちで毎回観てました。

滴に見立てられたヘルメットの動きが…というかヘルメットを滴に見立てるという発想が凄い。

水溜りが「セーフ!」て「言う」のが好きでした。喋る!雨が降っているという状況の表現としては傘ウーマンが出てくるだけでも十分だし、今泉が顔を拭うマイムをすれば水飛沫が邪魔だって伝わるのに、ここに水飛沫役や水溜り役を板の上に乗せてマイムで表現するのが実に「ペダステらしい」気がします。緊迫のレース中だけどこのペダステらしさが実に楽しかった。

 

・真波を引いてきた黒田

 久しぶり!!黒田くん!

「そのオーダー、遅かったな!」にゾクリとする感じ、昨年のインターハイでの「上がれ!真波!」と同じくらいゾクゾクしました。

 

♪M2(ガクガクの脚、今泉)

 ♪走り続ければー 立ち止まらなければー 

♪いつかは ゴールに 辿り着けるだろうかー

 この時の山﨑氏の太ももがプルプルで、その直前の一騎討ちの過酷さを物語っているのですが、千秋楽にしてプルプルを通り越して脚がガクガクで歌が終わって袖に捌けるところで彼の腰を鯨井氏が支えるところが見えちゃって。それどころではないと思うんですが、総北は支え合うチーム…とつい思ってしまいました。

めちゃめちゃイイ顔でソロ歌い出しを担う伊藤氏がカッコイイし。

♪弱虫な挑戦者という曲のことを何故か思い出しました。

 

・真波vs坂道

 原作で総北高校が二度目のインターハイを制した時にどうしても「漫画の展開としてどうなのか」ということを考えてしまいました。

「2年連覇してしまった敵無しの坂道くん」「あれだけイキり通していたのにまたDNFとなった御堂筋くん」「リベンジの叶わなかった箱根学園」…漫画のセオリーとして2年目のインターハイは「坂道くんが負けて翌年リベンジする」というのが大半の読者の「読み」だったと思っています(ペダルナイトとかで渡辺先生がお話されている内容はここでは加味しません)。

今回のペダステで一番驚いたことは、このような原作の展開への懐疑的な感情を一切抱かなかった事です。

最後の真波vs坂道のスロープの激漕ぎはあまりにも熱く、その果てにどちらが先にゴールするか、それがその後の展開的にどうかという思考を抱いている暇がありません。

ただ坂道が先にゴールをしただけ。それだけのことでした。真波が先にゴールしていてもきっと同じことを思ったと思います。

決着が着いた時に抱く闘っていた2人へ湧き上がる思いは実にシンプルな賞賛でした。

よく闘った、よく回した、全力であった。

渡辺航先生が原作で描いたこの勝敗で読者に感じて欲しかったことは、もしかしたらこのシンプルな感情だったのかもしれないと少しだけ他所事を考えてしまいました。ただ、私は2.5次元による体感でより原作が描いていたものを感じられたなら実にラッキーな事だと思います。

 

・俺を抜けショ!坂道

沿道から巻ちゃんが飛び出してくるところが本当に「ま、まきちゃん!!?」と驚きました。これは原作で読んだ時と全く同じ驚きでした。まさか本当に巻ちゃんが飛び出してくるなんて思わなかったんです。あの日あの時のあの感動がここに!みたいな安いコピーになってしまいます。

村上さんの巻ちゃんには「巻ちゃんがいる」という衝撃と喜びが溢れました。総北メンバーが巻ちゃんのシルエットでスロープにいるだけでも巻ちゃんがそこにいて「こうやって巻ちゃんと一緒に走っていることを描くんだ」と思ったのに、まさかジャージ着た巻ちゃんがスロープの上を走る姿がまた見られるなんて!

葛折りのカーブで、果てしなく続く一本道で、草生茂る田舎町で、ペダステのスロープの上で巻ちゃんは坂道の前を走り続けていました。こんなの泣いちゃう!

 

・♪まだ見たことの道を

 ♪過酷さも 困難も 失敗も 自転車は全部 楽しさにかえてくれる

 この曲が始まるとペダステが終わってしまうのですが、やっぱり良い曲で大好きな曲です。

「この曲を誰が歌うか」は私にとっては結構思い入れがあったのですが今回はDNFとなった選手の歌唱から、まだレースを走っている選手達の歌唱に続きます。この曲のシーンは観て味わった心の震えが全てというか。明文化出来ない文章力と語彙力でお恥ずかしいですが「好き」ということです。

 

・真波と東堂

このシーンについては…このシーンは荒北さんじゃないとダメなんじゃないかと少なからず思いはしたのですが、そんな話のわからないことは置いておくことにします。

真波が泣いている描写はある回から「背を向ける」になっていて、数回の公演でより洗練された表現になったと思います。実際に泣いても泣いてなくても難しいシーンだったと思うので。

 

・表彰式

表彰式へ向かうリタイアした総北の面々がブレーキ音をやっていたり、跳ねたり…この小芝居が如何程円盤に収まるかはわからないので見逃せないシーンでした、可愛い。

このシーン、オリジナルの部分が多かったですね。

原作では小野田くんの緊張が可愛らしい感じでしたがみんなと一緒なので実に微笑ましい。

「そして拓斗ぉ!2m2cm!」の指す先を見上げる富永氏の葦木場くん、「おっきぃ」と呟く悠人、メタでとっても可愛くて大好きでした。

私は葦木場くんの「2人で獲った山岳賞だね」が本当に受け入れ難かったのですが、ペダステではそのモノローグは無く「純ちゃんの分も貰っておくよ」になっていてペダステにまたしても心救われたシーンでした。

この表彰式のシーンから袖に捌けるところで富永氏が本当に毎回毎回違うパターンを見せてくれました。特に大阪28ソワレの花束の香りを嗅ぐ葦木場くんが最高だったので一生語り継ぎたいと思います。雪ちゃんに花束を渡す、とかも好きでした。

 

さて、この表彰式のシーン、浦久保くんが実に良い味を出しています。

表彰式のシーンは非常に賑やかなんですが、舞台下手の浦久保くんだけ物凄く静かなんですよね。

そもそも彼は表彰式にいないところを彼の良心の化身・庭妻くんが引っ張ってくるのです。彼は実に静かに表情台を見ていました。その表情は非常にリアルだな、と思いました。

勝ちたい人が、勝って表彰台に登っている人に向ける気持ちは悔しさやらせなさに満ちていて当たり前だと思うのです。浦久保くんもまた勝ちたくてレースに挑んでいたことを感じるシーンでした。

個人表彰には小さく拍手を送ってくれたのも、その拍手の覇気の無さがまたリアル。

浦久保くんばかり観ていたので、上手側で何が起こっていたのかは円盤で見ることにします。

 

・♪over〜

♪青空のスポットライト 

 もう語る言葉もありません、大好き。

 

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日替わり箇所の備忘

・女子ファン

 しれっと新キャラがいる。のぶこ推しなので再会できて嬉しかった。のぶこ可愛い!

 

・5番…〇〇

 この場面でその日替わり?!とド肝を抜かれました。

 

・御堂筋くんが追いついてきたところ

「うーばーいーつ〜」が個人的にドツボでした。

 

・集団(モブ)

 葦木場くんにそっくりな彼の「より楽になる👉」へ「自転車はどうした!」のツッコミが入るようになってから更に楽しかった。ペダステは都合よく自転車がなくなる。いえ、最初から無いんですけどね。

 

・箱根学園の補給

 銅橋くんにそっくりの彼と浦久保にそっくりな彼によるパンを巡る🥖攻防。大阪千秋楽のパンが浦久保似の彼の鞄から出てきたの驚いたしめちゃめちゃ面白くて、正直このシーンの東堂くんの顔が一切思い出せない。

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本当に楽しいペダステでした。

全編楽しくて最高の2時間50分でした。

配信は3/14から!円盤は6/17!サントラ売っててくれ!過去公演のBlu-rayも出してくれ!

 

 

 

 

 

 

 6年6ヶ月12作品を劇場で観ました。

原作が好きだから観始めた作品でした。

ペダステではどうやって表現するんだろうと思いながら読んだ事も何度もありました。

大好きなキャラクター達の走ったレースを体感させてくれて本当にありがとうございました。

舞台「弱虫ペダル」をこれまでもこれからも私は一番大好きです。

 

ありがとう。悔いはないよ、1mmも。

刀ステ維伝を観てきた

チケット取れなかったら4万までは出す覚悟してたんですが、定価の範囲で観てきました。

 

つまらないことを先に言ってしまうのですが、普通に「いつも通り」の刀ステでした。

 

今回の刀ステはゲラゲラ笑えるから楽しいとか、高尚が鼻について不快だとか、匂わせが寒過ぎるとかは無く…匂わせは多少有ったかな。それもいつも通りって感じです。平年並み。

今回のアニメのOPみたいなアガるOP曲、アニメのEDみたいな仄暗いED曲、南海太郎朝尊の罠シーンの音楽、と音楽が本当に好きでした。サントラ出ると良いな。

 

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前回の慈伝で突然のバク宙が冷や水だったので、今回はそういう「蒼木陣氏」としてのアクロバットではなく「アクロバティックな陸奥守吉行」が観られました。最高。

殺陣のシーンはアクロバティックでダイナミックで見応えする所が多々あって、慈伝で垣間見て期待をした「蒼木氏だから出来る身体能力バリ高の陸奥守吉行」を観ることが出来ました。とても嬉しかったです。豊かなことです。

筋肉がバキバキで「絵みたい」な胸筋、腹筋、上腕二頭筋には「立ち絵のむっちゃんみたーい」とIQの低い感想を抱きました。絵みたーい。

期待していたものが観れたことは本当に豊かで嬉しい事だと思います。蒼木氏のむっちゃんは本当にボディが絵の、キャラクターデザイン儘の陸奥守みたいでした。

 

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ストーリーの感想ですが、先にも書いた通り「いつも通りの刀ステ」でした。

 

・「せっかくこがなところに来たき、世界を掴むぜよ」

冒頭に顕現台詞キラーショットが復活して嬉しかったです。

2.5次元舞台を観に来ているので、再現性の高いシーンはやはり気持ちがアガりました。

南海太郎朝尊の綺麗な声が目立って良かったです。

ついでに再現性のところで好きだったところを挙げると、

会心の一撃」を男士が撃つ時の緑の閃光が好きでした。特に南海太郎朝尊は格好良かったです。

…南海太郎朝尊がとても良かったですね。前よりずっと好きになりました。

 

顕現台詞や会心の一撃、ゲームで見ていたものに生身の体感をもって再び出会うことができること、2.5次元舞台作品はこの「体感を得る瞬間」が本当に快感です。

 

慈伝の時に寒くて風邪を引きそうだった「ゲーム内台詞」のテキスト儘乱用は男士の人数が少ないので慈伝よりはずっと気にならなかったです、偶に不自然もあったかな?くらいです。

 

・「特命調査 文久土佐」

「入電」から始まるゲームの「特命調査文久土佐」儘の肥前忠広のVTRには「これは特報で見た」とだけ思いました。

文久土佐のイベント自体が結構前なので懐かしさがあってVTR久し振りに見れたことは良かったです。

 

・「この街…気持ち悪い」

「生きている」と表現された文久土佐町は非常に思わせぶりで禍々しくて、これがナニモノなのか先の展開をワクワクしながらストーリーを追っていたのですが結局なにも明かされない儘でした。

「生きている」と表現するからには「街が思考して邪魔をしている」のかと思ったんですが、そんな事なかった、期待し過ぎた。

途中から「勝手に動いてる」程度になってしまいました。ええ…。

 

刀ステにはいつも思うのですが、広げた風呂敷はキチンと畳んでから幕を下ろすべきだと思います。

「ものがたりをおくれ…」とか言い出す目玉達、禍々しくて面白そうだったのに何もありませんでしたね。

結局アレはなんだったのか。どういうことなのか。

これからのシリーズで語られるのか…

今語れよ!客が観ているのは「今」なんだよ!と思います。次回観れる保証なんて何もないのだから。しかしながらこのシナリオのガッカリ残念さも「いつもの刀ステ」です。

本当に毎回毎回「それっぽいカッコイイ事」だけを詰め込んで畳まない姿勢、ダサいシナリオ振り切りが潔くて清々しいです。

 

・「派手じゃのう、どこで誂えたんじゃ」

龍馬から男士の扮装を指して「変わった服装」みたいに明言したのは驚きました。コレは非常に面白かったです。

男士たちのあの扮装ってその時代時代に合わせて光学迷彩よろしく、時代の人達には時代に溶け込む服装に見えているとかそういうご都合主義なものでは無いのですね、漫画の読み過ぎかしら。

いつも私達が見てる通りの格好で各時代に出陣してます、というのが明かされるのは面白かったです。

怪しいのでしょっ引かれる理由は十分でしたね。

 

・「誰だ 罠を仕掛けようなんて言ったのは」

南海太郎朝尊の罠を仕掛ける時のシーンがとても凄くめっちゃウルトラスーパー超好きでした。dance to the music!て感じ。

ずっとこのシーンを繰り返し観ていたいくらいです。維伝はこの罠シーンをずっと推して行きたいと思います。罠to the musicと名付けます。

音楽がディスコティックで可愛いし、ダンス(?)がダサ可愛くて好みにガツンと響きました。

 

このシーンを好きな理由はもう一つ、

この「罠を仕掛ける」は文久土佐のプレイ時の再現としてとても上手だと思いました。

実際のゲームだとコマ進めて戦って、勝って、朝尊の台詞!コマ進めて戦って、勝って、朝尊の台詞!の繰り返しでテンポとか感じたことは無かったです。

舞台では音楽と合わせることで軽妙でサクサクとテンポよく進んだのは感動しました。

ゲームの展開を100%のオリジナリティを持って100%表現していて、200%の魅力を感じました。

楽しくて堪りませんでした。

 

 

・「とぅーーーけんだんしぃーーー」

完全に個人的な好みですが

史実上の人物達に刀剣男士が「刀」とバレている・受け入れられているというのは苦手なシナリオです。ダサくない?

坂本龍馬にはバレていない、バレていないというか男士サイドが肯定はしていない、バレを受け入れて名乗ったりはしていない。この辺が心の拠り所でした。

ところで龍馬は自分が「ヒトではない」自覚があったのでしょうか…個人的には無自覚だったと思うんですけどね。

それにしてもあの龍馬ってどこから現れたナニモノなんでしょうかね。放棄された世界、分岐後の龍馬ってことで合ってますかね。イマジナリー龍馬?

正体は明かされないままニセモノの龍馬は破壊されてしまったのが残念でした。

本当にあの龍馬は「倒されるだけ」で良かったのでしょうか。

 

 

・「ちょっとちょっと刀剣男士〜喧嘩してないで歴史守ろっ」

実に初演ぶりの染谷俊之氏の鶴丸国永でした。

コメディリリーフを担う鶴丸国永、といいましょうか、狡い存在でした。ずっと面白いんですもの。

芝居のテクニックも存在感もある。

「久しぶりの出陣」はメタなダブルミーニングを多分に含んだ台詞で実にズルイですね〜〜!

染谷氏自身の初演ぶりのキャスティング、健人氏がずっと出演していたことを踏まえて本当に狡い台詞です。考察厨なる浅い深読み大好きヲタクたちの筆を走らせてしまうことでしょう。

 

染丸国永については、久し振りに見ることが出来て嬉しかった事と、小烏丸の玉城氏と並んで含ませ台詞を話す時に二振りは老獪で且つ「対等である」ことを並ぶだけで示していました。ずる〜い存在だ、染丸国永。

 

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維伝は一幕の幕引きっぷりを金髪の時間遡行軍が盛り上げてくれてました。二幕が楽しみな幕引きはやっぱり観劇してて良いですね。

二幕は殺陣が長いなぁ、とは思ったんですが刀ステ名物「冗長な殺陣シーン」と思えば…この辺もいつも通りでした。長い。


ストーリー全編は刀ステ名物の広げっぱなし、思わせぶり放置でいつも通り。

歴史上人物への特に真新しいアプローチはなく、よく描かれてきた坂本龍馬岡田以蔵武市半平太でした。坂本龍馬という人物に対して理想が高過ぎる気もしましたが。

結局あの龍馬の正体は明かされないまま終わりましたね。

なーーにんも明かされない。

刀ステはいつも基本的にオチが無いので…ヤマはある、意味は…見出したい。いつも通り。

 

私は陸奥守吉行依怙贔屓本丸の審神者なるものをやっているので、今まで山姥切や三日月が担ってきた所謂「主役」ポジションに陸奥守吉行がいることが単純に嬉しかったです。

 

ラストで陸奥守が「歴史を守るのが刀の本能、であれば自分は『刀だ』」と自分の在り様を明言していました。モノとして自覚的である、ということの表明でしょうか。それとも言い聞かせているのでしょうか。なんとでも受け取ることが出来る!そういう思わせぶりなのはいいからガツンと熱いメッセージくれよう!

 

面白かったか、と聞かれたら「悲伝よりずっと面白い」と逃げ口上を述べます。

 

 

 

 

 

 

 

ここから先は読まなくて良いんですが自分の気持ちの備忘を書き殴ってます。

 

私は陸奥守吉行が好きなので、今回とても期待と不安を抱いて観劇に臨みました。

好きなキャラクターを苦手な脚本・演出家が描いているっていう負け戦スタートだったんです。

陸奥守吉行を嫌いになりたくないから、なるべく「刀ステの陸奥守は末満の陸奥守」と最初からかなり距離をとって観劇していました。

ただ、これが最初に見た2.5次元陸奥守だとしたら、これが正解と思っていたかもしれません。

 

弊本丸の陸奥守吉行と最も解釈が合致したのがアニメの活撃刀剣乱舞 第9話の‪陸奥守吉行です。

存外、湿っぽく感傷的で謀反の気配を漂わせてて、でも自分の気持ちに折り合いつけて大人ぶって賑やかしい役割を担っている、こなしていると思ってます。

そういうイメージを抱いているので…こう、蒼木陣氏はどうかなー、どう思って、どう考えて…むっちゃんに何を感じて演じてくれるのかな、私と完全一致はコッチが厄介過ぎて無理だろうという気持ちというか、あまりこちらのイメージを押し付けずに観たいとかそんなことを考えてました。

 

どうだったかというと、観劇中何度も「この陸奥守吉行が理想と一致する人はたくさんいるだろう」と思いました。

それだけ蒼木氏のパワフルで豪快な中にあどけなさを感じさせる雰囲気は陸奥守吉行のパブリックイメージと合致していたと思います。

しかしながら私個人が抱く「キャラクター解釈」と一致していたかというと…無抵抗の龍馬に「戦ってくれ」と頭を下げる陸奥守吉行には「解釈違い!解釈違い!」と鳴き声を上げそうでした。

解釈違い〜〜〜〜〜〜!なんてエゴの塊な言葉を使いたくないのですが、シナリオと血と骨と肉を以て表現された刀ステの陸奥守は、やはり私とは「同じキャラクターに対する分解、再構築」が異なりました。

違うだけです。否定はしませんし、それぞれの本丸、というヤツです。

末満氏とは解釈が違った。知ってた。今更だった。

 

刀ステのあの陸奥守吉行はあの文久土佐の世界の龍馬に本物の「坂本龍馬」を重ねたのでしょうか。

本物ではないということが判明して尚、「龍馬にはこう在ってほしい」を重ねて願うのか刀ステの陸奥守吉行よ…。

坂本龍馬の事を大切に思っている」というのはむっちゃんのキャラクター性というか男士としての構成要素です。元の持ち主のイメージに由来するタイプの刀剣男士です。

陸奥守の在り様は坂本龍馬で、その坂本龍馬にどういう姿であって欲しいかを願う姿は…卵が先なのか鶏が先なのかと思いました。

 

加えて私自身の問題というか、「そんなに前の主人の事が大事なの?!イマノアルジはムカシのオトコのハナシ、ダイキライ!」という嫉妬心があります。嫉妬はいつも醜い!

私は「むっちゃんは「龍馬が大切である事有りき」な存在であることはわかっている…。私より龍馬の事が好きなんでしょ?!やだ!」というド嫉妬審神者をやっております。厄介なことに自覚的である。

しかしながら、このド嫉妬を差し引いても「無抵抗な龍馬を斬りたくない」と宣う陸奥守吉行は私とはキャラクターへの解釈が違いました。サッサとよお狙ってバンして。

歌合さいたまSAネタバレ感想

5日マチソワの記憶

 

久しぶりに歌合です。

友達と演劇(?)を鑑賞するという文化的な行為はとても楽しかったです。

でも長野の感想の100倍disっているので愚痴合わせしたい人向けの感想です。

 

♪あなたと愚痴合わせ

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いくらなんでも酷いと思ったのは、新刀剣男士鍛刀の場面で一声も驚嘆の声が上がらなかったことです。

確かにもう今更過ぎてなんの驚きもないし長野の感想で書いた通り、この驚きは2度は通用しないやつです。けれどあまりにもシラけた空気にビックリしました。

私は刀ミュの客はもう少し優しいというか甘いというか、もっと茶番に付き合ってくれるものなのかと思っていました…わりと歌合を肯定しているのかとばかり。

確かに何の驚きも無いので私自身一声も上がらないのですがシラけ過ぎてはいませんか?!

他の会場でどうだったのかは知りませんが段々とこうなのか、さいたまだけ特別にこのシラけっぷりなのか…。

 

『もっと驚いてやれよ』

そう思うばかりです。あのシラけっぷりでまだ大阪、大楽を含む東京公演が残ってるなんて信じられません。この先の公演に入る予定のお客様達はもう少し茶番に付き合ってあげて欲しいです。私はもう入りません、増やす気は起きなかったから。

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ショートショートについてdis感想です。

 

碁石ガチャガチャ丸

登場するキャラが多い割に「おもしろくない」話でした。

なんか良い感じの雰囲気の話という印象です。

パンチの無い話でした。

良かったところは「各キャストが可愛い」です。

百度参りしてる面々と一人畑仕事を続ける大倶利伽羅、どちらも可愛い。

コテギリゴウと物吉くんについては最後の姿かもしれません。

 

・コンペイトウ

1回目、2回目は笑える。3回目はクスリとはくる。

4回目は疲労コンペイトウです。

根兵糖に関しては本当に、瞬間湯沸かし器的「ウケる」なので一度ウケればもう仕事は全うしてると思います。

でも、キャラクターのイメージ違いで一度も笑えない人もいると思うので…ゼロか100かしかないし2度目は等しくゼロ…

 

・菊花の約

あらやんが上手い。

別に刀剣乱舞ではないし、にっかり青江である必要もない。

 

・明石の梅

「しゃべくり」から始まる明石の印象を悪くして終わるだけのセンテンス。

いや、こんなシナリオで明石を好きにはならないでしょ…元ネタのある話かな、て思ってるんですがどうでしょうか。兎に角明石の印象を悪くして終わるので憐れだなぁ、て思います。

 

・軽装実装

私は軽装の実装にはやっぱり感動します。

2.5次元の舞台を観に来ているから。

でも、このセンテンスについては不在の千子村正について心配!みたいな話なので、この場で完結しない話ですし「心配してます」に頼ったイイ話の体裁は二度も三度も見て常にその気持ちに共感し続けられるかというと…難しいです。葵咲も終わってるしね。

 

・徳川の親子

親子可愛い。

ただいまとかおかえりは余計です。

お大事になさって下さい。

 

・おおきなかぶ

さいたまになったら大倶利伽羅が一人でカブを引っこ抜いて完結してしまいました。

ただの「大倶利伽羅に絡むおむすびの3人」のセンテンスになってしまいました…絡まれて可哀想な大倶利伽羅…。

 

・小狐丸が二振り

なんか元ネタがある話なんですかね、私は存じないんですが元ネタがある話なのかなー、と勝手に思ってます。

このセンテンスは嫌いではないんですが、やはり別に「楽しい!」という話では無いので気持ちが盛り上がるかというと大して…SF(すこしふしぎ)小話。

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好きなところもありました、推しキャラです。

この気持ちは長野から変わりません。

歌合において推しキャラのパフォーマンスは良かったですし満足度が高いです。

推しを観て満ち足りる部分も間違いなくあるんです。

でも、本当に歌合の良いところが「推しだけ」となってしまうとこれはもう別に、他の作品に出ていても同じになってしまうじゃないですか。

この公演で推しを観たい!と思わせて欲しいものです。

 

個人的にはセトリが好きなのでCDが楽しみです。写真集にまた付けてくれ、早く売ってくれ。

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ところで今回の歌合に結局「新しい試み」ってあったんでしょうか。

ビックリはしましたが桑名江がいまだにキャスト発表されないことは「新しい試み」なんでしょうか。

「実験的な試み」は感じます。

 

客を入れて試すな、客を試すな。

 

 

脚本家が挙って作ったところ?アンソロ企画は作り手が楽しければ正解だから正解なんでしょうけど客商売だから客の満足度を高めることにも意識して…客から巻き上げた金で作るどうじんしは楽しいか?

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disってますが友達と観たので楽しかったです。

でも、公演内容の是非については別です。

 

私が客じゃなかったと言えば終わる話ですが、

私は2016年、2017年、2018年のラブフェスは楽しかったです。その気持ちで期待して公演のチケットを買うことは間違いなのでしょうか。

歌合の形式を否定しているのではなくて、「公演内容が面白くないこと」を言及しているだけです。

来年は楽しいライブして欲しいな、という期待を持ってしまいますし、次回公演にだって面白い・楽しいことを期待します。

観てみなきゃわからんし、観る前から否定は出来ない。でも観た上で面白くなかったというのはやはり「客」ではあると思います。

 

客として、この公演は面白くなかった、次は面白くあって欲しい。

ただ、そう思います。

 

- - - -追記- - - - 

長野のネタバレ愚痴ブログに「公式がバレ禁してるんだからーー、配慮してくれ」と温かいコメント頂いたんですが、これこそが私が「どうしても」という公演はなんとか初日(初回)に入っている理由だな、と思いました。

 

この弱さたるや、憐れでなりません。

 

ネタバレが「ネタバレ」と名札付けて歩いてくるわけないんですよ。

公演が初日を迎えて一公演終えているということは、公演内容はもはやオープンな情報なんです。

 

初日に入って何のネタバレ踏まずに歌合初回楽しめて良かったです。

 

「公式がバレ禁してる」についてはせめてチケット買う前にアナウンスされてたらチケット代に「ネタバレ禁止」が含まれるので黙ってたと思うんですが、後から言われても知らんがな。

「ネタバレしないでって言ってたよ」まで含めてネタバレしちゃいそうですね、します。

 

私はバラされるくらいならバラします。

 

せめて、「バラさない方がこの公演の為になる!」と思えたら黙ってたと思うんですが歌合にその価値は残念ながら感じませんでしたね。

- - - - -追加終わり- - - -

 

上でデカイこと言ったら愛知から新たなる刀剣男士変わったそうなので、初日だけじゃなくて全通しない奴は弱いんだなー、て反省しました。私も弱い。

強い奴はいつも現場にいる人だけですね。

 

私は松井江好きなのですが、刀ミュ公式には「松井江が出るなら是非公演をみてみたい!と思う奴なんて居ない」と思われてると感じました。

公式はネタバレ非推奨な筈なので、「出演を聞いてチケットを買い足した」とか公式は期待して無い、ということですよね。

確かに、あれだけキャラクター数の多いコンテンツで、松井江が出るから売り切れてないチケットが売れる、というのも難しいかもしれませんが…正直桑名より松井見たかった。

選びたかったな〜〜と思ったんですが、そもそもランダム商品販売するのがお得意のコンテンツでした。

 

求:松井江の記憶

譲:桑名江の記憶

大変難しいかと思いますが切実です、みたいな滑稽な事態を味わいました。

 

新作どっちが出ても良いんですが、地方になったら変わっちゃったら嫌だな。

DRAMAticalMurderドマステ を観てきた

※ノイズルート(初日)、蓮ルート(25日)、ミンクルート(前楽)しか観てないヨ

 

原作ゲームのファンでは無いので、観てきたルート分の情報しか知らないです。

一番わからなかったのは『碧島ではどうして男性同士のセクシャルな欲求が当たり前に展開するのか』でした。

紅雀に女子ファンがいるってことは碧島には女性が存在していて、男女の恋愛が成り立つ世界線かと思うんですが…なんで碧島の男やミンクの仲間はガッチリメンズでノンケの蒼葉にセクシャルな方面で色めきたってしまうの?わかりませんでした。

蒼葉の声が魅了と洗脳の力を秘めているとしても、舞台上ではどちらかというと魅了より「言うことを聞かせる」て感じだったので。

あんなに説明のナレーションが多いのになんでこの辺の説明が作中に織り込まれていないのか不思議でした。

原作知ってたらなんの疑問も無いんだろうな、と原作ファンが少し羨ましいところでした。

これは同性愛への違和感ではなくて、単純に男と女がいたらより抱きしめたいのは身体が柔らかい分、女性じゃないかと私は思うので、不思議な島だなって思いました…そもそも碧島は「島」なのか?

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私自身は商業のオリジナルのBLが非常に苦手で、しかもドラマダは成人指定されてる作品なので初日は兎に角憂鬱な気持ちで着席しました。

嫌なのになんで観に来てんの?て言われたら気になる俳優が出演しているからです。

その俳優の「芝居」が観たいからチケットを買ったんだよ!別にコンテンツの派生作品として観たくて観に行くだけじゃないんだよ、俳優の追っかけは!

着席したら3列目かと思っていたのが思い掛けず2列目だったので後はもうひたすらウイルスの立ち位置がセンブロの下手寄りであってくれ!と願いました。どちらかと言えば上手寄りでした。カテコのダンスは完全に上手でした。アガったりサガったり噛んだ舌が痛いです。

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良かったなーと思ったところの話から書いていきます。

・多ステするヲタク向け

ルート毎に二幕の内容が全然違う。完全に別物。エンド違いなんてヌルいもんじゃなかった。

初日のノイズルートを観た時、二幕がほぼ二人芝居だった潔さには本当に驚きました。

ルート回以外も通おうとチケットを取ったわかはいのヲタクはみんな死んでしまったんではないでしょうか。

原作のファンにしても…自分の好きなシナリオ回に入らないと二幕が鬼門なんじゃないでしょうか。

息をするように多ステするのは圧倒的にわかはいのヲタクだと思いますが、コンテンツのヲタクが多ステすべき作品でした。

でもコンテンツが好きで多ステしてるなら需要と供給のマッチング完璧、毎回違うものが観られるし毎公演違うシナリオな筈なのに永田氏の芝居は完璧に仕上がってて最高の演目だったんではないでしょうか。

コンテンツのヲタクは円盤にしてくれなんて言ってないでとにかく劇場で体感した方がいい。

 

・永田聖一朗氏の芝居がめちゃめちゃ上手い

本当にめちゃめちゃ上手い。もう観てというか「体感してくれ」としか言えません。

特に蒼葉の人格が変わるところの表情の変わりっぷりが凄かった。ゼロ秒で別人の顔。

ノイズから仕掛けられた野良ライム試合以降、蒼葉は基本的に「展開に翻弄されるタイプ」の主人公です。

観客と目線の近い存在なのですが、宿す乱暴な方の人格が浮かんでくる時の表情の変化が本当に怖くて、さっきまで観客と同じ目線で翻弄されていたのに蒼葉もまた観客へ衝撃をぶつけ、翻弄してきます。

ゼロ秒で多重人格を表現するそのお芝居の上手さに震えました。この蒼葉の豹変ぶりは「体感」して欲しい。

八百屋の舞台でアクションをドッタンバッタンしてるのですが永田氏のボディは割としっかりしてるので重みがあり、迫力が有ってよりエキサイティングなアクションを魅せておりました。かっこいい。

「永田聖一朗」の芝居を2.5時間ずっと観ることが出来るのがドラマダの最大の魅力だと思います。

どのルートでも永田氏の出番は減らないしね。

 

これは私が原作を知らないからだと思うのですが、ルート毎に全く違う相手と展開が進むにも関わらず、永田氏の蒼葉はキャラクター性に全くブレがありませんでした。

どのルートの蒼葉も「同じ蒼葉」で、〇〇ルートになると全然キャラが違う、というような事が一切無かったように思いました。

この辺はシナリオの力も多分に有ると思いますが、永田氏の描くキャラクターの一貫性に複数のシナリオを観てもストレスが全くありませんでした。

「蒼葉は誰を選んでも蒼葉である」ということがこの舞台しか知らない私にも伝わったというか。

 

 

・富永勇也の描く導線が兎に角美しい

私はウイルス役の富永勇也氏目当てに劇場に行きました。

一幕の時間にしてほんの10秒そこらの「悪島を撒いて逃げる」シーンが本当に大好きでした。2回あるのも嬉しい。

このシーン、心の中で毎回スタオベでした。

私はコレを観るためにドラマダのチケットを買ったのだ!と思いました。

 

ラマダのステージは八百屋(しかも盆)になっているのですが、この八百屋のステージでウイルス・トリップが対角になり、走りながらその対角の導線を保つですが、富永氏が作るこの導線!これが本当にラインが美しい!ぴょんっと跳ねて素早く駆けて、と連続の動きの中なのに美しい導線を保ち続けるんです!舞台袖へ駆けていく姿、最高でした。

 

ラマダのステージはかなり傾斜キツいんです。

でも、富永氏はずっとペダステのあの急勾配のスロープに立って芝居をしてきたんです。得意分野じゃん!知ってた!でもこんなに出来るなんて知らなかったから凄い感動したし嬉しかった!

 

富永氏が培ってきたキャリアを思い掛けず別作品の中で見ることが出来きたことが本当に嬉しかったです。

彼が2017年10月から2年4ヶ月葦木場拓斗を担ったペダステの新IH編は2020年2月で終わってしまうけれど、富永氏の芝居の中に「経験」として残るのだと感じられたことは勝手ながらとても幸せでした。俳優を追っているとこんな喜びに出逢うことがあるのか、と。

私は骨の髄がペダステのヲタクだから本当に嬉しかった。ありがとうドラマダ。ありがとう八百屋の舞台を採用した人!

 

(ゲネプロ動画で2回目の方が観れた)

https://youtu.be/6LooGKpwpro

 

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さて

好きじゃなかったところの話なんですが…

何度か「朗読劇か?」て思いました。

 

地の文を読むような状況説明ナレーションが兎に角多くてクドい。

もしかして原作ゲームのテキスト儘なのでしょうか?

地の文ナレーションは「読んでる」感が半端なくて、同時に役者の芝居も描写を語ってるので本当にクドくて気持ちが冷める場面が度々訪れて辛かったです。

 

蒼葉が精神を集中させていることは永田氏の「集中している芝居」で十分伝わるのに、「蒼葉は精神を集中させ…」みたいな地の文ナレーションが入るのは私には合いませんでした。

 

でもゲームだとスチル1枚を補足するテキストって1シーンにたくさんあるんでしょうね…再現度が高いんでしょう。気にならない人が楽しめればそれが正解だと思います。

私は富永氏の地の文ナレーションに、良い声だな〜って楽しむ事にしました。

でもやっぱり芝居としては集中削がれて冷めちゃう。

 

特にミンクが登場してきたシーンの目の前で煙管ふかすミンクに蒼葉が「男は煙管を取り出し…吐き出した煙が宙漂う…」みたいな事を台詞で喋り出した時は本当にビックリしました。

こんな事言いたくないんですが、「見りゃわかるよ」と。

 

ミズキの精神の深部に蒼葉がスクラップした時のミズキのモノローグとかは最高だったので、台詞で語るのが悪いわけではないんです。

役者が芝居で語ってるところは、役者の芝居から場面を読み取るから十分ですよ、という話です。

 

演技で、身体で、3.0次元にしかない人体の質量で表現してるのにナレーションを被せられてる感じは馴染めませんでした。

芝居を乗せて地の文をナレーションするので、この作品が全編朗読劇の体裁だったなら読むのが上手だなって思ったと思います。

いっそ朗読劇だったなら本当にもっと素直に賞賛出来ただろうな、と思うほどでした。

 

 

・二幕の差分が「通う」俳優のヲタク泣かせ

これはこの作品の良いところと完全に被りますが、

初日のノイズルートは二幕が99%、二人芝居でした。二幕のウイルス、体感20秒くらい。

ウイルス役の富永氏が目当てだったので二幕はやっと一瞬出てきた!と思ったら次の出番はエンディングでした。

あまりの出番の少なさにビックリしたんですが、後日ペゴステを観たらコミナミくんの出番の方がヤバかったんでちょっと救われました。ありがとうコミナミくん!

初日のノイズルートに関しては「年末で業務が繁忙なので一旦会社戻りたい」くらい思いました。

でもこの二幕、25日蓮ルート回を観たら普通にウイルストリップに出番ありました。

ルートによって二幕が違い過ぎる、差分なんてもんじゃない(二回目)。

原作ゲームが好きで観劇する分には物凄く贅沢な作りだと思います。毎日違うモノが観られるのは先にも語りましたがやっぱり凄い事だと思います。

 

でも、通えるヲタクばかりではないので「ルートによってお話が変わります」なんてやんわり言わずに「ルートじゃないキャラクターの出番はほぼありません、ご了承の上チケットをご購入下さい」くらいアナウンスしてくれよ!

 

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好きとか嫌いとかの話じゃないのですが、セクシャルな場面がダンスで表現されているのは新しくて興味深かったです。ダンサブルセックス。

蓮ルートの対ウイルス&トリップの時だけダンスじゃなくてもっと物理的で即物的な攻めの体裁でしたけど。3.0次元BL耐性がないので目のやり場に困るし感情がスンッとなるので個人的にはとてもしんどかった。

ノイズルートの時、初日だったせいか富園氏のセクシャルダンスがとても硬かったのがお可愛らしかったです。その前のアクションシーンとか凄いキレキレだったので余計に。

 

紅雀、クリアルートを観ていないので良い奴と可愛い謎のガスマスクという印象しかありませんが、好印象です。恋慕の事情も情事も見てないからでしょうね。本当に私はドラマダに向いてない…。

ミズキのドライジュースへの想いを語るモノローグのシーンが大好きでした。意識不明だったのに退院できてよかったね。

ミズキみたいな大事にしてるモノの為に本質を見失ってしまうタイプのキャラクターは実に面白くて感性に刺さります。失う不安を24時間抱えるタイプのメンヘラの素養が見えて好きでした。かわいいね。

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総括は「原作ゲームのファン向け」です。

「俳優のファンだから」で行くとルート回によって出番の差が有り過ぎて、通いのヲタクにはキツいだろうと思います。頑張ってください(?)

 

個人的には時間があってドラマダ原作のファンだったら全ルート回見たほうが良いと勧めます。

私は原作を知らないので、誰のルートにウイルスとトリップの出番があるのかわからないのですがチケットを持っている3つのルート以外のルートの方が出番が多いよ、とか言われたら臍を噛んで死にそうです。

時間も金も有限なので、せめて出番はどのルートでも同じくらい用意して欲しい…のは俳優のヲタクの戯言でしょうか。

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2019年最後の観劇、ドラマダの感想でした。

まぁ最終的に楽しんだ、かな。

P5theStageを観てきた

2.5舞台に覚えがあるならペゴステを観て欲しい。

個人的に 2019年で一番面白かった2.5d作品に躍り出てしまった作品です。本日はベタ褒めblogになります。

 

…ただ、小南くんのファンだけはブチ切れても許される。

 

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1幕が終わった時に「まだ観ていたい」と休憩に入ることに抵抗を覚えるくらい面白かったです。

2019年に観た芝居の中で2幕の始まりが、話の続きがこんなに待ち遠しかった作品はペゴステだけです。

ペゴステが面白かった理由は明白で単純です。

「舞台上でお話しを全うしている」

これだけ。

 

公演時間内で「お話し」を全うするって実はなかなか無いと思うんです。

最近見た漫画やゲームが原作の舞台作品って「好きで観にきてるんでしょ?」に甘えて、良い雰囲気のラストを迎えれば客が勝手に推察、深読み、考察でシナリオ補完をしてる気がします。

それが面白いって作品も勿論あるんですけれども、

始まった話が終わらなくて山場に辿り着かないまま幕が閉じる作品多くない?つらい。

ビジュアルや原作シーンの再現パッチワークのみで板の上の「お話」はおざなりな2.5も頻繁に見るような気がします。

 

「原作を知っていればおもしろい」そう感じる作品にもよく出会いますが、私は予習が必要なエンタメは「未完成品」であることを強く感じます。

 

P5がパッケージゲームで「ストーリーが既に完結している」ことも要因でしょうか。

2時間35分の中でストーリーが始まって終わるってこんなにおもしろいんだな、て思いました。

 

…言い過ぎました。

ペゴステも主人公の捕縛とか連続事件に挑む佐々木喜英のところは冒頭だけでその後全く触れなくなりますね。「今回はやらない」に振り切ったことを体感で納得できちゃったということにします。ベタ褒めブログだから。

 

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鴨志田パレスまでしかやりません。

2時間35分を掛けて鴨志田パレスまで!

ストーリーネタバレをザッと読んで観劇に挑んだ私にもこの進捗が非常に遅いことはわかります。

というか、喜多川祐介のシナリオに進まないことに本当に驚きました。

あのキービジュアルで、ランブロで、祐介のシナリオに進まない!?小南氏のファンのメンタルは大丈夫なのか?

 

私は彼のファンというわけではないので、面白い面白いとストーリーを追って観ていたら小南氏が一幕に全然出てきてないことに二幕が始まるまで気が付きませんでした。

なんなら「私コミナミくん見逃した?」とすら思いました。

 

小南氏の出番は体感2秒…いやもう少しはある、かもしれない。

カテコでお辞儀する姿がめちゃめちゃ格好付けてるので小南氏の見所はカテコのお辞儀…それと次回予告。小南氏のファンのメンタルは本当に大丈夫なのか?!

(21日マチネの塩谷氏のカテコ挨拶でアンサブルの皆さんの方が「小南氏より台詞ある」と揶揄されてました。小南氏のファンの皆さんにはメンゴですが、めちゃめちゃ笑ってしまった)

 

小南氏の出番は悲しいほど無いですが、鴨志田パレスまでしかやらないのでたっぷり時間を掛けてシナリオを進めていて…かと言って余計な事を組み込んでシナリオを冗長にしてるという事もなく。

観ていてストレスに感じることが一つもなかった。

きっとこのゲームは凄く面白いんだろうな、と思いました。こんなシンプルな感想に着地するなんて…でも敢えて言うことが無いくらい、面白かったんです!

 

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映像演出が凄く良かったです!

客電全部落として全面スクリーンで流れる映像は集中を高めてくれました。ベルベットルームもカッコイイ、パレスの映像もチープと言えばチープなんですが、凄く「スチル」て感じでした。

単純に映像も音楽もカッコイイ!

(♪テテンテテンテテンテテンテンテンがポルノのミュージックアワーのイントロみたい、て思うのは私だけかしら)

 

映像の演出って3.0次元にいる俳優陣と2.0次元の「絵」が同時に存在してて、2.5次元という繊細な境界を描くのにミスマッチだと思うことが私はしばしばあるのですが、ペゴステに関してはゲーム画面が再現されているような趣を強く感じるものになっていて、良かったと思います。 ペルソナとかふわふわしてるだけなのが逆にいい。

 

あ、でも一番キメのシーンである、カモシダアスモデウススグルへの攻撃の映像はちょっとダサかったな…ここだけは映像より3.0次元の俳優たちのアクションの方が100倍格好良かったです。

 

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主人公が受けている理不尽、パレス、ペルソナ、竜司、鴨志田の傍若無人、高巻杏、バレー部員達の絶望と失意…本当に1回の観劇だけでわからないところが一つも無かった。

初見、一見さんに非常に優しいシナリオになっていました。

ペルソナを何も知らなくても面白いから是非観に行った方が良いと言える作品でした。最近そんな2.5が他に有ったか?!

 

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日替わりシーンも本当にみんな冴えていて楽しかったです。

牛丼屋の日替わりで

「コープがあがった!竜司はバトンタッチを覚えた!」と塩田氏が言い出した時に見えないメッセージボックスが見えました。

 

映像に絶対に残らないと思うので備忘として書いておきますが21日マチネの竜司のコードネーム「it's Small World」「エレクトリカルパレード」は塩田 康平氏の動き含めてめちゃめちゃウケた。♪てててーてーてーてててーてーてー…この日替わりは絶対に円盤に入らない!良い回に入った!と思いました。

杏ちゃんのコードネームにも「アンパンマン」「赤い彗星 シャア」と版権!版権!!

昨今の「面白くないけど日替わりに挑む気概を評価して気を使って笑ってます」みたいなヌルいことがありませんでした。

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ペゴステは褒めるところしか無いのであんまり書くことがありません。

でも私は2019年に観た2.5で一番面白かったと思います。まぁチケットが取れなくて観れてない作品もたくさんあるけどな!エーステとか!

 

正直、2019年を締め括る観劇にしたかったんですけど…ドラマダを観に行かなきゃいけねぇんだよなぁ…。